William A. Soward氏

米Adaptive Planningは、BPM(Business Performance Management: 業務パフォーマンス管理)に特化したSaaSベンダである。創業時からSaaSベンダとしてビジネスを展開、その後、オンプレミス、オープンソースと戦略を広げていった。

同社CEO兼社長のWilliam A. Soward氏に、SaaSにおけるAdaptiveの戦略、クラウドコンピューティングなど、ソフトウェア業界のトレンドなどについて話を聞いた。

--主力製品「Adaptive Planning」について教えてください。

「Adaptive Planning」は我々が提供するBPMソフトウェアです。予算編成/管理、財務プランニング/レポーティング、ダッシュボードなどの機能があります。Excelのスプレッドシートに似た容易に使えるツールをホスティング型のWebベースで配信しています。役割ベースなので、部門長なら年度予算の管理に、CFOなら全社の予算管理、売上げ、キャッシュフロー、バランスシートなどをチェックする、といった使い方ができます。

我々はSaaS形式でBPMを提供するベンダとして2003年に創業しました。ユーザー100 - 2,500人程度、年商1,000万 - 5億ドル程度の中規模企業をターゲットにしています。業種は、ソフトウェアベンダ、ヘルスケア、製造、非営利団体/政府とさまざまです。現在、顧客数は350社を上回っており、うち20社は年商5億ドルを上回る大企業です。SaaSはもはや、中小規模企業のものではなくなってきました。

現在、バージョン5を提供しており、まもなく発表する次期版では国際化にも対応します。

--SaaS以外に、オンプレミス、オープンソースとしても提供していますね。

創業当初はホスティングにフォーカスしていましたが、2006年に戦略を拡大しました。

顧客は我々のソリューションを使って、重要なデータを入力しています。我々のSaaSソリューションは高い安全性がありますが、上場企業の場合はセキュリティの意識が高く、データの安全性を案じる声がありました。これらの企業は、きちんと管理できるIT組織を持っています。そこで代替案として、カスタマイズ可能なオンプレミスも提供することになりました。

オンプレミスも月額料金制で、SaaS、オンプレミスとまったく同じ機能と価格にしました。顧客が選択しやすくするためです。さらに、オンプレミス版発表の際、オープンソースとしても公開することにしました。現在、オープンソースの無償版「Express」、有償版としては中規模向け「Corporate」とハイエンドの「Enterprise」、合計3種類のエディションを提供しています。

米国企業の場合、年商1億ドル以下であれば95%がSaaSを選択しますが、これを上回ると50対50になります。

オンプレミス版の提供は、大きな差別化となっています。というのも、SaaSベンダのほとんどはオンプレミス型を持ちません。また、オンプレミスを提供したとしても、オンプレミス版のほうが高価に設定されています。

オンプレミスはまた、地理的なデメリットも解決します。日本の企業がカリフォルニアにある我々のホスティングを利用する場合、パフォーマンスが十分ではありません。オンプレミスは、国際展開戦略の上でも重要だと見ています。