かつてはComdex、E3も

IT系の大規模イベントといえば、かつてのComdexを思い出す人も多いだろう。PC系トレードショウとして興隆を極めたComdexは、2000年を境に参加費高騰や費用対効果の減少などの理由もあり多くの企業が参加をボイコット、ITバブルの崩壊を経て2001年を最後に20年近い歴史に幕を閉じることになった。

その後、運営母体のKey3Mediaの倒産を経て、ビジネス分野のユーザーを対象にしたカンファレンス中心のイベントとして新しい組織での新生Comdexが2003年に開催されたが、わずか1年のみの開催で終了しており、今後Comdexの開催はないというアナウンスが行われている。Comdexのピークだった1990年代後半には現在のCESと同様の状況が起こっており、CESの興隆を「いつか来た道」と当時のComdexに思わず重ね合わせてしまう。

ほかに大規模イベントとしては、ゲーム関連では最大のトレードショウだったE3(Electronic Entertainment Expo)が有名だろう。以前のE3は夏のロサンゼルスの風物詩ともいえるほど賑やかで多くの人が集まるイベントだったが、2006年の開催を最後に主催者のEntertainment Software Association(ESA)がE3の招待制への移行を表明、以後はトレードショウの原点に戻ったビジネスミーティングを中心とした「E3 Media and Business Summit」としてリニューアルされた。

かつてのE3の様子。これは2005年開催のもので、ロサンゼルスコンベンションセンター(LACC)を会場にした過去最大級のイベントとなった。以後、E3は縮小の道をたどることになる

もともとは年々高騰するE3への出展コストに頭を悩ませていたメーカーらが参加見合わせを表明したことが発端で、ESA内部のメンバー企業分裂もあり、小規模開催の新イベントへと移行した経緯がある(会場がコンベンションセンターから海岸沿いのホテルの会議室になり、不便になったとの声も大きい)。

だが2年間の新E3開催を経て見直し論が高まっており、2009年6月開催のE3からは従来のスタイルへと戻すことが決定した。会場も従来のロサンゼルス・コンベンションセンター(LACC)へと戻ることになるE3だが、一度失った輝きを取り戻すことは容易ではないだろう。

E3はすでに多くのメディアのカバー範囲からは外れており、欧州や日本の各地で開催されるローカルイベントへとその役割も移りつつある。従来のE3においても、任天堂やソニー、Microsoftといった主要ベンダーはE3とは別に独自に発表会を開催しており、必ずしもE3にターゲットを絞った発表を行っていなかったという背景もある。

Comdexからの一連の流れで共通しているのは、イベントの巨大化が進み、それにともなって現地の宿泊費や出展ブース確保にかかる費用が高騰、大手を含む主要ベンダーがコスト高騰を嫌って続々と撤退……という一連の流れだ。大手ベンダー撤退時期にバブル崩壊が重なるという事情も共通で、今後数年はCESにとって試練の年となることが予想される。また出展を継続するメーカーらも、CESに合わせた新製品発表を行わない傾向が高まりつつあり、CES 2009は目玉製品のあまり見られないイベントになる可能性がある。むしろCES 2009の最大の見所は、時代の節目に家電メーカーがどう立ち向かっていくかを見極める点にありそうだ。