フリーメールのパスワード解除は簡単?

ところで犯人についての真相はまだ謎なのだが、このハッキング事件に伴い、別の視点での論議がいくつか上がっている。まず、今回ハックされたのは、おなじみYahoo!のフリーメールのアドレスだった。IDやパスワードを探るのに想定される郵便番号や誕生日などは情報として出回っているし、今回のサラのような立場の人物は、パスワード解除の際に利用する「秘密の質問」の答えもそれほど難しくなく解ける可能性がある。例えば、「夫と初めてあった場所は?」に対するサラの答えが「Wasilla Hig」であることは、Wikipediaなどを使って誰でも知ることができるのだ。ちなみに最初に投稿されたサイトには、これらの手口を使って、新しいパスワードを"popcorn"にすり替えてアクセスを行ったとも告知されていたそうだ。

こうした状況で、この先、この手の犯罪が増えてこないのか。今回の流出のケースでは、政治的な活動に対してのダメージは今のところないものの、プライバシーに対する問題はどうするのか、写真や情報が流れてしまったことによる二次被害(子どもたちに対する危険性など)に対して対応や法律などはどうなのかといった話もされている。

プライベートアドレスで公務やりとりの疑い

また、ペイリン氏側は、公務に関係するメールをプライベートアドレスでやりとりしていたのではないか、といった職権乱用の疑いで、州議会が調査に乗り出したという報道もされている。これは、米国では、知事の公務に関する文書はすべて保存し、破棄してはならないと定められているからだ。個人的なメッセージは破棄できることになっている。

彼女には別に公務用のメールアドレスを持っているが、いくつかのYahoo!アドレスを使いわけていたとも言われている。セキュリティを強固にすれば面倒になる。結局は、手軽なフリーアドレスを使ってしまうのは、庶民派ならではのペイリン氏に限らないだろう。日本の有名人、著名人、(もちろん一般人)にとっても海の向こうの人ごととは言えない。まあ、日本では、そこまでの論議さえもなかなか持ち上がってはこないのだが……。