飛び出す絵本的なディスプレイいろいろな話

展示ブースではすでに商品化されているもの、広告モデルとして利用されているディスプレイ等が紹介されていた。こちらは、それぞれの3D映像に対するアプローチが異なるところが面白いと思った。

3Dメガネ(偏光メガネ)をかけて画面を見ると空中に浮き出て見えるといった手法は、アミューズメント系の施設などでずいぶん昔から取り入れられてきたもので、私たちにも馴染みが深い。最近では、小型化、軽量化、高画質化に加え2画面同期再生や連動画像再生といった技術によって利用領域が広がっているようだ。小型の3Dプロジェクターを使えば、会議室でお手軽に立体プレゼンテーションができる時代なのだ。また、こういった3Dを高画質に表現するモニターは、ある程度の厚みが必要なので、その辺の技術の追求は現況ではエンドレスといった感じを受けた。

T&TSが展示していた連立タイプの3Dモニター。連立タイプの3Dモニターは、CT・MRI画像診断や手術計画といった医療分野やCADの立体視化など設計・製造など各方面からの利用ニーズに合わせ実用化されている

立体映像を投射する3Dプロジェクター「3DP-LC78 」は、プロジェクター側が左右画角の調整を行い、利用者側でスクリーンの大きさや投射距離によっての画像調整が不必要。開発、製品化を行うT&TSの独自のハーフミラー構造によって、BOX内の左右プロジェクターの光軸(画像)を一致させている

その他、展示されていたタイプの違うディスプレイやホログラムプリンターを用いて出力した立体型画像などを写真で紹介しておく(なかなか写真では立体感やそれぞれの視覚的、体感的な違いを伝えることができないのが残念だが……)。

正面から見ると空間に動画映像が浮かぶ空間プロジェクター。ビデオ信号入力なので映像ソフト制作も容易。商品化されたのはもうだいぶ前とのことだが、「博物館などの用途での利用が主であったが、もっと様々な分野や業界へのアプローチを行い、活用シーンを広げていきたい」(石川工学造形研究所代表取締役 石川洵氏)。同社は超立体映像による話すマネキンなどユニークな製品をたくさん出しているので要チェックだ

こちらは、パララックスバリアという(舌を噛みそうな名前の)方式を用いメガネなしで立体映像が見える3Dディスプレイ。ディスプレイの前に特殊なフィルターをおき、右目左目の異なる視野の映像をモニター側で調整してしまうというもの。実際に見た画像を見ると、CMなどに使われると広告効果が高そうだと感じる。120度以上の視野角に対応しているので、大勢で並んで見ることができるのも特徴。42インチ2日間で78,750円というレンタル事業もスタートしている(ニューサイトジャパン)

デジタルホログラムプリンターで出力した試作品(アルファバグ)。奥行き感や影の感じがどこから覗きこんでももとは平面である画像とは思えない。蝶シリーズは、リアルの標本のようだ。商品として販売されている。ホログラムと言えば、クレジットカードやお札の上で光る「エンボスホログラム」など実生活にも浸透してきているが、このような使われ方を見ると市場開拓はまだまだこれからだと感じる