日本オラクル 常務執行役員 製品戦略統括本部長 三澤智光氏

日本オラクルは26日、統合経営管理ソリューション「Oracle EPM System Fusion Edition」(以下、Oracle EPM System)の提供開始を発表した。昨年、Oracleが買収したHyperionのパフォーマンス管理ソリューションなどを採用した製品群で、「マネジメントが弱いといわれる日本企業が競争優位性を勝ち取るための、最高のソリューション」(日本オラクル 常務執行役員 製品戦略統括本部長 三澤智光氏)と自信を見せる。

Oracle EPM Systemの"EPM"は"Enterprise Performance Management"の略。三澤氏は同製品の特徴を「Complete(完備)」「Open(オープン)」「Integrate(統合)」と語るが、とくに今回注目されるのは「Oracle Hyperion Strategic Finance」「Oracle Hyperion Financial Data Quality Management」など、旧Hyperionのポートフォリオをベースにした製品の提供だ。これらをOracleのBI基盤と統合することで「業界一の包括性を完備した経営管理システムが実現する」(三澤氏)という。

加えて、さまざまなデータソース/ビジネスアプリケーションに対するオープン性、EPM製品内の統合はもちろんOracle以外の製品をも含むERPとの統合などが図られており、企業内で利用するすべてのアプリケーションを、Oracle EPM Systemで包括的に統合された環境下で活用することを主眼としている。たとえば、これまで、大企業を含む多くの日本企業がスプレッドシート(Excel)上で行っていた中長期計画策定や予算編成、連結経営管理などの業務をOracle EPM System上で行うことで、「正確な数値と予測に基づいた経営管理が実現可能になる」(三澤氏)という。

日本オラクル 代表取締役社長 最高経営責任者 遠藤隆雄氏

同社の真の狙いは「マネジメント・エクセレンス」の浸透だ。「日本企業は現場レベルの生産性では世界有数の高さを誇りながら、国際競争力が落ちていると言われている。原因はマネジメント力の弱さ。全世界的に経営のスピードが加速化している中、未来を予測し、先を読んだ経営判断とアクションがますます重要になってきており、そのためには未来をシミュレーションするツールが必要になる」(日本オラクル 代表取締役社長 最高経営責任者 遠藤隆雄氏)、そしてそのためにオラクルが送り出すツールがOracle EPM Systemだ。同製品では、

  1. ステークホルダー環境
  2. 市場分析
  3. ビジネスモデリング
  4. 事業計画
  5. ビジネス遂行

といった段階をふむ「Strategy-to-Success(成功への戦略)」というフレームワークを活用し、刻々と変化する社会情勢に応じた戦略を立てることで、企業は競争優位性を打ち立てることができるという。

三澤氏は、「過去、経営に必要なのは"経験と勘とスプレッドシート"と言われていた。それらはいずれも重要ではあるが、現在はこれを裏付ける正しい数値が必要」とし、とくにスプレッドシートに頼りすぎた日本企業のマネジメントプロセスに警鐘を鳴らす。もともと、Hyperionのソリューションはそのすぐれた分析能力に定評があり、国内でもすでに2,000を越えるインストールベースをもつ。J-SOX施行、M&A増加、原材料の高騰など、日本企業を取り巻く環境が大きく変化する中、未だ数多く存在する"Excel偏重主義"の企業をどう取り込んでいけるかが同製品普及のポイントになりそうだ。