クレオは20日、同社の基幹業務(ERP)パッケージ「ZeeM」シリーズに新たに5種類の製品/サービスを追加することを発表した。国内ソフトウェアベンダにもSaaSへの対応を進める企業が増える中、同社もとくに中堅・中小(SMB)企業向けのSaaSビジネスを積極的に展開していきたい構えだ。

今回発表された新製品/新サービスは以下の通り。

決算開示短縮パック

既存製品の「ZeeM会計」で処理した決算データを、連結決算、決算開示書類作成システムと連動させ、金融庁や証券取引所へのデータ連携を実現する業務効率化パッケージ。現場エントリ→経理処理→決算開示までのプロセスを迅速化する。8月リリース予定。

パートアルバイトマネージメントパック

パートやアルバイトなどを多く雇用する業種/業態に特化したパッケージ。就業管理システム、シフト管理、モバイル機器との連携などを行う。8月リリース予定。

スリムパック

必要最小限の機能を搭載した中小企業向けパッケージ。マスターテンプレートを活用し、低価格/短期間での導入を実現する簡易導入モデル。10月リリース予定。

アウトソーシングサービス

ZeeM製品、ハードウェア、データベースなど、顧客のシステムをすべて預かるサービス。内部統制やセキュリティを意識したシステムメンテナンス、パッチ適用などを行うワンストップソリューション。6月リリース予定。

SaaS販売モデル

SaaSプラットフォームによる各種Webサービス提供。会計、人事給与などの基幹業務も月額利用料金制で提供。10月リリース予定。

価格はいずれも個別見積もりになるという。

クレオ プロダクト事業部 事業部長 林森太郎氏

クレオ プロダクト事業部 事業部長 林森太郎氏は、今回発表した新製品/新サービスについて「現行の基幹業務システムは大幅に進化したが、アプリケーションの機能だけですべての業務を完了するのは無理。さまざまな規模、業種業態の企業が増える中、人的チェックや判断の負荷を低減し、それぞれの顧客にとって最適な製品を手間隙かけずに利用してもらうために、"ハイブリッド"をキーワードにラインナップの拡充を図った」とする。

特徴的なのは、明確に中小企業をターゲットとした販売戦略を打ち出している点だ。とくにSaaSプラットフォームへの対応は、ここ1年で、サービス提供を開始した国産ERPベンダも多く、クレオも「場合によっては他社のSaaS基盤にサービスを載せ、プラットフォーム協業を行うこともあり得る」(林氏)とするなど、取り組みの強化を表明している。導入コスト、保守/運用コストが低く抑えられ、早期導入が可能なSaaSサービスは、ERP導入に二の足を踏んでいたSMBにとって注目のソリューションであり、同社としてもこの機を逃したくないところ。そしてポイントはやはり価格だ。今回の発表では提供価格が明示されなかったが、今後は、具体的にどれだけ高いコストパフォーマンスをアピールできるかが鍵になるだろう。

クレオが目指すZeeM事業展開。今後はSaaSサービスの基盤となる「ZeeMサービスプラットフォーム」をいかに拡充していくかが課題となる