リコーは、カラープロダクションプリンタ「RICOH Pro C900」を開発。8月から発売する。同社では、今回新たに「RICOH Pro」ブランドを用意。カラーPOD(プリント・オン・デマンド)市場に本格参入するための製品と位置づけている。

RICOH Pro C900

リコーの近藤史朗社長

近藤史朗社長は、「ハイエンドプリンティング市場には最後発で参入することになるが、これまでインフラ、人材の整備、アライアンスの強化を進めてきた。満を持してこの市場に参入する。2010年度には単年度での台数シェアで全世界30%を目指す」と意気込む。

同社では、1999年からオフィスハイエンド分野における基盤づくりに着手。2004年には、日立プリンティングソリューションズを買収し、さらに2007年6月には米IBMのジョイントベンチャーとしてInfoPrint Solutionsを発足。プロダクションプリンティング事業への体制整備に取り組んできた経緯がある。

今年度からスタートしている第16次中期経営計画においては、プロダクションプリンティング事業を最大成長領域と位置づけており、なかでもPOD領域は、印刷物の多品種、少ロット化の需要の増大に伴い、今後の成長を期待できる分野と捉えている。

RICOH Pro C900の市場セグメント

また、PODと基幹帳票印刷を融合した「トランスプロモ」市場向けにも需要拡大のチャンスがあるとしており、これまでのモノクロPOD市場向けのimagio MP 1350シリーズに加えて、今回、新たにカラーPOD市場向けに新製品を投入したという。

プロダクションプリンティング事業部長 田中則雄常務執行役員

「新製品を投入した領域を中心に、2010年度には、プロダクションプリンティング事業において、2,500億円の事業規模を目指す」(プロダクションプリンティング事業部長 田中則雄常務執行役員)としている。

RICOH Pro C900は、新開発のタンデムエンジンの採用により、3,000万円以下のプロダクションプリンタとしては、クラス最高となるカラー/モノクロともに毎分90枚(A4横送り)の高速性を実現したほか、新定着機構により60-300g/平方メートルまでの紙厚で、同速となる高生産性を達成。業界初のリング製本や大容量スタッカー、中綴じ製本などの後処理オプションも用意している。

リコーの成長戦略とプロダクションプリンティング事業分野

3,000万円以下のプロダクションプリンタとしては、クラス最高の毎分90枚を実現

また、リアル1200dpiの高解像度出力に加え、常にフレッシュな現像剤を供給することで、高画質を実現する現像剤プレミックス機構、従来比で3-5倍となる高寿命感光体「SuperFR OPC」の採用、低温定着を実現する新開発のSVAトナーの採用などによって、プロダクションプリンティング市場で求められる高画質出力や、高い安定性、信頼性を達成しているという。

プリントコントローラには、米Electronics For Imaging(EFI)社のFieryコントローラを採用。RIP 1 While Print2機能を搭載していることから、RIP処理および印刷処理時間の大幅な効率化を実現したという。

さらに、印刷ジョブを効率的に管理するユーティリティソフト「Command WorkStation」を搭載。同機のカラー液晶タッチパネルの簡易画面から、再印刷指示などを効率的に行うことができる。同ソフトでは、出力したジョブの状況確認や、再出力での出力順の並び替え、オプションの再設定、処理中のジョブへの割り込みなどの操作が可能になる。加えて、EFI社のカラーアーキテクチャー「ColorWise Pro Tools」を搭載していることで、キャリブレーションやICCプロファイルの割り当て、スポットカラーへの対応などのカラー管理が可能となっている。

本体サイズは、1250×1100×1440mmと省スペース化を図っており、「競合他社製品の約半分のサイズとなっており」(田中常務執行役員)、複数台の導入による出力時間の短縮や、ダウンタイムリスクの回避が可能になっているという。

本体標準価格は1,230万円。年間300台の出荷を見込んでいる。

田中常務執行役員は、「先行している競合他社に比べて、トータルコンストパフォーマンスに優れた製品。当社がオフィス市場で培ったノウハウを活かし、PODニーズをさらに深堀することで、新たな需要を創造したい」としたほか、「年度内にスキャナーモデルを発売し、2010年度に向けて、カラー/モノクロPOD機のラインアップを強化していく」と述べた。

また、プロダククションプリンティング事業部国内販売センター 松田洋男所長は、「RICOH Pro C900では、カウンタ制での料金設定を計画しており、戦略的な料金を目指す」とした。

なお、販売ルートに関しては、リコーグループ販社、大塚商会のほか、日立製作所や富士通などのシステムパートナーを通じた販売に加えて、新規販売チャネルとして印刷機材商社との連動も図っていく。

販売ルート

ユーティリティソフト「Command WorkStation」

さらに、入稿から印刷データ作成、印刷、後工程といった領域において、モリサワやホライゾンなどのソリューションパートナーとの連動による提案も行っていく。

加えて、リコーテクノサービスの全国343カ所のサービス拠点、約5000人のカスタマエンジニア、約2000人のネットワークエンジニアおよびシステムエンジニアにより、24時間365日のサポート体制を実現。また、リコー独自の@Remoteによって、ネットワーク上からのサポートも行う。

RICOH Pro C900の販売が開始される8月末には、東京銀座の本社2階にショールームを開設して、プロダクションプリンティング関連機器をトータルに展示する体制を整える考えだ。

「RICOH Pro C900」を前に、近藤史朗社長(右)と田中則雄常務執行役員(左)