15日、マイクロソフトにとって本年度最大のイベント「the Microsoft Conference 2008」が開催された。マイクロソフトにおいてエンタープライズの今後の主力商品となるWindows Server 2008、Microsoft SQL Server 2008、Microsoft Visual Studio 2008が一度にリリースされるというかつてないイベントで、業界内外から大きな注目を集めている。

それに先立ち、マイクロソフトでは報道機関向けに記者発表会を開催。マイクロソフトコーポレーションのビジネス部門担当プレジデント ジェフ・レイクス氏、そして日本法人であるマイクロソフトの代表執行役社長 樋口泰行氏を中心にパートナー企業が集まり、今後の展望などを語ってくれたので紹介する。

マイクロソフトコーポレーション ビジネス部門担当プレジデント ジェフ・レイクス氏

まず、壇上に現れたのはジェフ・レイク氏。マイクロソフトが提唱するビジネスにおける戦略的な資産としてITを位置づける取り組み「Dynamic IT」について語った。

このDynamic ITとは「複雑性への対処、俊敏性の実現」「情報の保護、アクセスの制御」「ITソリューションにより、ビジネスを加速」「従業員の能力を最大化」というテーマに基づいたITを構築する思想であり、今回の製品群はそれを実現するための統合ソリューションであるのだという。ジェフ・レイク氏の話は力の入ったものだったが、基調講演の模様と共に別記事で詳しく解説していきたいと思う。

マイクロソフト代表執行役 社長 樋口泰行氏

次に登壇したのは樋口泰行氏。同氏は冒頭で「今回は出荷の段階以前に業界の各パートナーと連携することができた。マイクロソフトの製品だけでなく、ハードウェア、ソフトウェア、SI、すべてを含めてLaunchを意識して準備を進めてきた」と語った。

実際にハードウェアのプリインストールモデル110機種以上が夏までにリリースされ、そのうち90%以上のモデルで仮想化、Hyper-Vの使用が行えることが決定している。また、アプリケーションはWindows Server 2008の認定ロゴを取得しているものを含めて、リリース時ですでに500以上、SIサービスにおいても38社が対応ソリューションを発表している。

同時にエンジニアの育成もすでに実施されており、マイクロソフト認定テクノロジースペシャリストの数は700名以上にのぼる。このあたりの数字をみても、リリースへ向け十分な準備をしていたことや、今回の製品群に対するマイクロソフトの意気込みがうかがえる。

さらに、今回の製品群は「大塚商会」「京セラ」「栗山米菓」などをはじめ、全15社において早期導入も実現している。

ネットワークアクセス保護、NAP、Hyper-Vなどを中心としたソリューションがすでにビジネスシーンで稼動していることも大きなインパクトとなっているだろう。「導入先からは良い感触のフィードバックをいただいています。特に品質が良い、などといった高い評価を受けています」と樋口氏もすでに確かな感触を得ているようだ。

今回の3製品を市場に投入することで得られるインパクトについて樋口氏は、以下の3つの要素を挙げた。

仮想化ソリューションのコモディティ化

サーバ統合によって、コスト削減やリソースの最適化、ビジネスの変化に柔軟に対応できるシステムの構築が、短期間、低コストで実現することが可能

ハイエンドミッションクリティカル領域でさらなる導入

可用性、信頼性、スケーラビリティが向上しているので、Windowsプラットフォームを安心して使える

自社導入型からクラウド型までを包括する次世代統合プラットフォームを実現

自己完結したシステムの構築だけでなく、インターネットとのコネクション、あるいはホスティング型といった次世代システムの構築にも応えられる

樋口氏は「日本のマイクロソフトとして、まず製品品質とセキュリティレベルのさらなる向上をお約束します。日本のお客様の要求は世界的にみても高いので、そのニーズに応えられる取り組みをしていきます」と語る。

同氏は続けて「パートナーと連携して魅力のあるソリューション群の提供、ITエンジニアのみなさまへの継続的な支援も行いたいと思っています。今回の『the Microsoft Conference 2008』のテーマも『HEROES happen {here}』となっています。これはワールドワイドのテーマで、ヒーローすなわち現場で実際に作業をなさる技術者の方々を支援したいという意味があります。何よりもまず技術者の方々にマイクロソフト製品の良さを知っていただきたいと思っています。それが会社全体の評価につながってゆくはずです」と語る。

マイクロソフトの新しい製品群の品質に対する自信と、現場目線に立ちシステム構築・開発をサポートするという意識が伝わってくるコメントだ。これから各企業への導入が本格化してくるWindows Server 2008、Microsoft SQL Server 2008(リリース予定は第3四半期)、Microsoft Visual Studio 2008。今後の市場での評価が気になるところだ。

記者からの質問に答えるジェフ・レイクス氏(左)と、樋口泰行氏(右)

記者発表会にはハードウェア・ソフトウェアベンダーの代表も集まりコメントを寄せた。写真左から日本電気 コンピュータソフトウェア事業本部長の山元 正人氏、日本ヒューレット・パッカード 執行役員 エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 松本 芳武氏、ジェフ・レイク氏、樋口 泰行氏、日立製作所 理事 情報・通信グループCSO 兼 経営戦略室長 北野 昌宏氏、富士通 経営執行役常務 山本 正巳氏、伊藤忠テクノソリューションズ 取締役 兼 常務執行役員 クロスファンクショングループ担当役員 後藤 健氏