中国に国情に合わせたセカンドライフが必要

仮想世界は現実世界と交錯する世界である。Linden Labが創出したセカンドライフは米国の現実社会を反映したものだが、それを中国へ移植しようとすれば、当然中国の国情に合わせるためのローカライズが必要だ。

中国版セカンドライフの1つ「HiPiHi世界」で自分の分身を設定する画面

だが、ローカライズといっても、難しい問題がある。Linden Labはセカンドライフの「住民」が自分のバーチャルな作品に対し完全な所有権をもつことを認める。ひとたび所有権を認めれば、物件の創造にともない、これをめぐる売買が発生するのは必然だ。取引が発生すれば、貨幣が不可欠になる。そこで、セカンドライフでいえば「Linden Dollar(リンデンドル)」のようなバーチャル貨幣が、仮想世界の経済活動を動かす基軸通貨として登場してくる。

しかし、中国の現行体制では、バーチャル貨幣といえども現実世界の貨幣政策の監督下にある。このため、HiPiHiはバーチャル貨幣と人民元との取引を一切認めず、仮想世界内でも直接人民元での決済をさせている。こうした事情から、HiPiHiの創業者でCEOの許暉氏は、「人民元でバーチャルアカウントを開設してもらうことも将来の選択肢の1つ」としている。だが、許氏は同時に、「HiPiHiが一定規模の取引量をもつことになれば、仮想世界でも、CtoCの交易プラットフォームが形成される可能性がある」とし、その過程でバーチャル貨幣に準じたものが流通する可能性についても語っている。