中国の大手家電メーカーTCLがこのほど、新たなブランド戦略を発表した。社名の「TCL」を新たに「The Creative Life」と定義。TCLが26年前に誕生して以来、初めての本格的ブランド戦略のスタートとなる。

TCL集団総裁の李東生氏は、今後10年をかけ、設計力、品質力、販売力という三位一体の価値体系を構築、「TCL」を中国で最も創造力のあるブランドにしていこうと意気込む。

今月公表された「2006年中国電子信息百強企業リスト」で、TCLは468.55億元の売上高で第6位に輝いている。だが、TCLは2006年に35.69億元の赤字を計上しており、5月8日以降、深セン株式市場に上場中のTCLのA株銘柄も、「TCL集団」から「ST TCL」に変更された。STは2年連続赤字の銘柄に付けられる「上場危機」を警告するアラームマーク。天下のTCLも、いまや上場中止寸前にまで追い詰められているのである。

社名である「TCL」を揶揄する風潮まで出始めた。TCLによれば、「Today China Lion」が社名の由来。「The Cool Life」でもよし、とされる。ところが巷には「太差了(Tai Cha Le)」「太次了(Tai Ci Le)」(ともに「極めて劣る」の意)などと、漢字発音で皮肉る向きもある。

TCLが今回新たなブランド戦略を打ち出す目的は、株式市場で融資を狙うためではなく、市場での根本的なイメージ再建を図るところにある。だが、これは決してTCL一社の問題ではなく、数多くの中国企業を悩ます問題だ。原因は、あくまでコア技術の欠如にある。コスト優勢のみを掲げれば市場で一定の地歩を固められる時代はもう過去のものだ。TCLがいかに創造力をもつ真のブランドに変身できるか。業界内外で注目が集まっている。