日本IBMは19日、同社メインフレーム「System z」向けの機能拡張オプションを5月8日より提供開始すると発表した。一部製品を除くハイエンドの「IBM System z9 Enterprise Class(System z9 EC)」とミッドレンジの「IBM System z9 Business Class(System z9 BC)」の2種類のモデルで利用できる。この機能拡張により、システムの可用性や運用の柔軟性が従来と比較して大幅に向上する。

今回発表された主な機能拡張内容は次の5つ。従来の基本機能の拡張に加え、新たに消費電力の監視や費用の見積もりを行うツールが付属する。

  1. 論理区画(LPAR)グループキャパシティ制限機能
    パーティショニングにおけるプロセッサ等のリソースの割り当てを論理区画単位だけでなく、複数の論理区画をまとめたグループ単位で割り当てることが可能。これにより、リソースの利用効率がさらに向上する。
  2. オン/オフ キャパシティオンデマンド機能(OOCoD)
    メインフレーム内で扱われるトランザクションがある一定量をオーバーした際に、自動的にあらかじめ内蔵されたプロセッサなどのリソースを一時的に追加し、処理能力を向上させて処理を続行させる機能。ユーザーにとっては必要なときのみに追加のライセンス料が発生し、必要な処理能力を多めに見積もって高いシステムを購入する必要がなくなるメリットがある。今回の発表では、この従来のOOCoDをさらに拡張し、OOCoD発生時の挙動をこれまでの1件から最大100件まで記録できるようになったことで、業務ごとにさらに細かい動作設定が可能になった。
  3. システムのシャットダウンなしでのドライバ更新
    システムを停止しなくてもドライバーの更新作業が可能になり、アップグレードやシステムメンテナンスの際のダウンタイムがなくなった。
  4. 消費電力監視/消費電力見積もりツール
    システムリソースを監視するツール「IBM Resource Link」上に構成データを入力することで、システム全体の消費電力予測が可能になった。またハードウェア管理コンソール(HMC)の「System Activity Display」から、システム運用中の消費電力や温度状況を監視できる。
  5. 災害対策機能の強化(System z9 BCのみ)
    System z9 BCがメインシステムで、そのバックアップシステムとしてSystem z9 BCの下位機種を設置した場合、従来まではバックアップシステムのスペックをメインシステムと同等まで拡張する必要があった。今回の機能拡張により、システムがバックアップに移行した際、OOCoDが動作してバックアップのシステム機能を一時的に引き上げることが可能になり、常時バックアップの性能を引き上げるために余分なコストを必要としなくなった。