NECは19日、次世代のミドルウェア基盤として、SOAの概念を活用したサービス実行基盤「WebOTX 7.1」と、企業のデータ管理を様々な側面から支援するテクノロジーとして「InfoFrame 1.1」の発売を開始した。この製品群によって新しい市場を開拓し、3年間で500億円の販売を目指す。

WebOTXは、次世代ネットワーク(NGN)をにらんだサービス実行基盤で、RFIDや音声認識など最先端技術を利用可能にするサービスコンポーネント、それらサービスを統合するESB(エンタープライズサービスバス)製品、基盤に位置付けられ無停止運用が実現可能なアプリケーションサーバから構成される。

左から、コンピュータソフトウェア事業本部長 山本正人氏、執行役員常務 丸山好一氏、執行役員 岡田高行氏

開発方法は、WebOTXが提供するサービスを利用してビジネス上の価値を生み出すアプリケーションを構築するというかたちだ。WebOTXを使用すれば、既存のアプリケーションをSIP(Session Initiation Protocol)で強化したり、音声や映像を活用した新サービスを構築したりすることができ、最新技術を用いた高付加価値のサービスを迅速に提供することが可能となる。

また、オプション販売されている「WebOTX RFID Manager」を使用すれば、Eclipse IDEベースの開発環境上でRFIDアプリケーションを開発できる。

以下、WebOTXを構成する3要素について見ていこう。

サービスコンポーネント

アプリケーションが利用するサービスを公開するためのコンポーネント。SOA技術を用いてコンポーネント化される。RFIDサービスやSIPベースの通話/音声管理など、NECのノウハウが存分に生かされた製品が提供されるという。

エンタープライズ・サービス・バス(ESB)

上位層のサービスコンポーネントを統合し、連携させるためのミドルウェア。

同社が提供するESBの特徴としては、分散配置が可能なため柔軟性が高いこと、また独自のXML解析技術を用いているため非常に高速なメッセージングが可能なことが挙げられる。

アプリケーションサーバ

同社が販売する「WebOTX Application Server」は、キャリア/金融など2万システム超の稼働実績を持つ。高速性と信頼性が売りで、プロセスを多重化することにより、無停止運用も可能だ。

また、今回のリリースでは、SIPに対応したアプリケーションサーバ「WebOTX SIP Application Server」が新たに追加された。同社の独自技術であるSIPサーバ仮想化機能により、SIPサーバ間の違いを意識することなく、安定した通信品質で映像/音声などのマルチメディアサービスを実現できる。

WebOTXは、様々な企業間コラボレーションを念頭に置き、柔軟性と信頼性を確保するための基盤としてSOAを利用した製品である。

InfoFrame

今回のリリースにおける注目点の1つに次世代情報管理ソフトウェア「InfoFrame(インフォフレーム)」を製品化したことが挙げられる。

InfoFrameは、企業内に散在する情報を統合し、情報のリアルタイムな活用を実現するための製品だ。現在の企業システムでは、個別に最適化された各種情報システムが複数存在し、それらを人的作業で連携させたり、さらに追加のアプリケーション開発が必要になったりしているとうい事情がある。InfoFrameでは「コンテンツバス」と「データバス」という2つのバスが用意されており、情報統合に必要な作業を軽減することが可能になるという。

InfoFrameに含まれる2つのバスのうち、データバスは、業務ごとに異なるDBMSに格納されているデータを高速/高信頼に統合するためのものである。各DBMSに格納されているデータの構造差異を吸収し、データの送達確認とデータ再送により信頼性を保証する。

一方のコンテンツバスは、業務ごとに生成されたコンテンツ(業務文書や証跡など)を収集し、不正利用/改ざんなどから保護する。コンテンツを一元管理できるようになれば、例えば監査業務などで必要な情報をすばやく入手可能になる。データバスに備わるDB/XML変換技術を用いれば、データバスにより統合されたデータを簡単にコンテンツとして変換し、一元管理することも容易となる。

また、InfoFrameには、データ処理高速化技術の「InfoFrame DataBooster」、オープンソースデータベース用の運用/性能向上ツールである「InfoFrame DB Maintenance/DB Monitor」、動画コンテンツの配信管理が可能な「InfoFrame Streaming Manager」も含まれる。

企業内の情報、コンテンツの統合とその利用を複合的にサポートする製品群、それがInfoFrameである。