「生徒自らが考え、解決していく力の育成」を方針に掲げ、人生の基盤となる正しいものの見方と考え方に重点をおいた教育を実践する東海大学付属高輪台高等学校・中等部。同校では、2007 年に採用したアクティブ ボード (電子黒板) や PC などによる ICT 教育を先進的に進めることで、高い教育効果を生みだしてきました。

さらに 2015 年からは、すべての教室や授業における「場所を選ばない ICT 教育」を実現すべく、生徒向けに 600 台、教員向けに 50 台の 2 in 1 タブレット デバイスを導入。既に生徒の理解度や授業への積極性の面で高い効果が現れており、今後は家庭学習における活用も構想されています。同校の ICT 教育を一歩先に進めたこの取り組みには、実際に教鞭を振るう教員からの大きな支持を受ける、日本マイクロソフトの Surface Pro 3 が採用されています。

プロファイル

中高大学の一貫教育を実践している東海大学付属高輪台高等学校・中等部。合同学校行事なども通して、中学生、高校生のそれぞれが相互に信頼関係を築き、充実した学校生活を実現しています。2004 年度から文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール (SSH) に 2 期連続 8 年間指定されており、2012 年度には第三期 5 年間の再指定を受けています。東海大学の「建学の精神」を具体的に学ぶ「高校現代文明論」を中心とした授業や、学校生活の中で、人生の基盤となる正しいものの見方と考え方を養っています。
http://www.takanawadai.tokai.ed.jp/

導入の背景とねらい
アクティブ ラーニングに不可欠な授業の双方向性の創出と、ICT 化に伴い発生した場所やカリキュラム調整の課題を解決するべく、生徒へのデバイス配付を検討

東京都港区に本校を置き、人生の基盤となる正しいものの見方と考え方を養うべく、中学から大学までの一貫教育を実践する東海大学付属高輪台高等学校・中等部。同校では、「生徒自ら考え、解決していく力の育成」を教育方針に掲げ、生徒の充実した学校生活を支援しています。

東海大学付属高輪台高等学校・中等部

東海大学付属高輪台高等学校・中等部 校長 片桐 知己治 氏は、同校の特色について次のように説明します。

東海大学付属高輪台高等学校・中等部
校長
片桐 知己治 氏

「パンフレット上で『どの大学にどれくらいの人数が合格した』ということをうたう学校が多いため、私立学校に対して『偏差値偏重の教育』というイメージを持つ人が多いかと思います。しかし、当校はそうではありません。東海大学の付属ということもあり、当校では受験に合格するための教育に重点をおく必要がなく、その土壌をもって実験や実習、課外活動などを重視することで、『人生の基盤となる正しいものの見方と考え方』に重点をおいた教育を実践しています」(片桐 氏)。

偏差値偏重の教育を経て知識を詰め込んできた人材は、「答えのある問題をいち早く解く」という能力が高い一方、「答えのない問題」に対しては解決に難航する傾向にあることが指摘されています。とりわけ、グローバル社会が本格化する昨今においては、「答えのない問題」をいかに解決していくかという能力が求められていると、片桐 氏は続けます。

「グローバル化が進む今の社会では、これまでにない新しいものを生みだす力を必要としています。新しいものを生みだすためには、既存の解法だけでは対応することができません。そこには生徒自らが考え、解決していく力を育むことが欠かせず、教育のレベルもそこに合わせ向上させていく必要があるのです。教育レベルの向上には、授業の質を上げるのはもちろんですが、授業環境も改善していかなければなりません。当校では、そのための取り組みを継続的に行っています」(片桐 氏)。

片桐 氏が語る「生徒自らが考え、解決していく力の育成」は、文部科学省からも「アクティブ ラーニング」という言葉でその重要性が説かれており、現在大きく期待される教育方針の 1 つです。東海大学付属高輪台高等学校・中等部では、このアクティブ ラーニングを実現するべく、ICT を用いた授業環境の改善を、他校に先駆けて 2007 年より進めてきたといいます。

「海外の先進事例から良い部分を取り入れるべく、アメリカでの研修を何度か重ねました。そこへ参加した教員の中からアクティブ ボード (電子黒板) の採用を求める声が上がったのが、ICT 教育のきっかけです。当校が目指す教育の実現に対して有効であることがわかり、2007 年に中等部と理科の実験室に、2008 年には全教室へ導入したことで、デジタル教材やネットワークを活用した新しい形態の授業を展開できるようになりました。当時としては非常に先進的な取り組みだったと思います」(片桐 氏)。

あらかじめ用意しておいたグラフや地図を黒板に表示しながら授業を展開できるアクティブ ボードの導入は、授業内容を視覚的に捉えやすくすることで、高い学習効果を生みだしました。さらに、その有効性を実証できたことが、「CALL」と呼ばれる PC を用いた英語教育システムの拡充など、同校の ICT 教育を推し進める大きな転機ともなったのです。

ところが、ICT 教育が加速し授業環境の改善が進むにつれ、そこに新たな課題が生じてきたといいます。東海大学付属高輪台高等学校・中等部 情報管理室室長代行・SSH担当 教諭 山田 武範 氏は、当時の課題について次のように振り返ります。

東海大学付属高輪台高等学校・中等部
情報管理室室長代行・SSH担当 教諭
山田 武範 氏

「たとえば CALL の授業の場合、そこでは生徒が PC を用いることが前提となっています。当校ではこれまで 3 つの PC 教室がありました。それぞれ 50 台ずつデスクトップ PC を導入していましたが、毎年、利用できる教室に限りがあることが時間割を組む際の制限となっていたのです。すべてのクラスで毎週 1 時間 CALL の授業が設けられますが、それだけなく『調べ学習』や『情報』といった授業でも、生徒の PC 利用が必須となります。ICT を活用した授業の拡充を行えば行うほど、場所やカリキュラムの調整に頭を悩ませることが増えてきたのです」(山田 氏)。

さらに、普段の授業におけるインタラクティブ性の向上についても、発展の必要があったと、片桐 氏は続けます。

「アクティブ ボードは確かに生徒の学習効果を高めましたが、それだけでは生徒とのインタラクティブな授業の実現には至らなかったのです。一方通行な授業ではなく、教員と生徒の双方向による授業を行うことが、アクティブ ラーニングの面で効果をあげるためには必要です。そこには、普段の授業で生徒に PC やタブレットなどのデバイスを配付することが有効なのではないかと思い、検討を開始しました。デバイスを配付すれば、生徒と教員との双方向性を生みだせると同時に、CALL の授業に代表される場所やカリキュラム調整の問題も解決できると考えたのです」(片桐 氏)。

ICT 教育の拡充に伴い発生した課題の解消と、インタラクティブな授業の実現を行うべく、東海大学付属高輪台高等学校・中等部では 2013 年 9 月より、生徒へ向けたデバイス配付の検討が開始されました。

導入の経緯とシステム概要
圧倒的な性能と、携行性に優れていながら充実したインターフェイスも備えている点を評価し、Surface Pro 3 の採用を決定

デバイスの配付にあたり、東海大学付属高輪台高等学校・中等部では、文書などを作成しやすいモバイル PC と使い勝手のよいタブレット デバイスのどちらで検討を進めるべきか議論されました。その結果、どちらも兼ね備えた Windows 2 in 1 タブレット デバイスを前提に機種の選定が行われたといいます。

「当校は 2004 年度から、科学技術と理科、数学教育を重点的に行うスーパー サイエンス ハイスクール (SSH) に指定されています。SSH クラスでは特別な教育プログラムを実施しており、シンポジウムでの発表なども行っています。その中では、Microsoft Office を用いた資料の作成やデータの分析、プレゼンテーション ファイルの作成などが必要なため、生徒に配付するデバイスにはキーボードやマウスで操作可能であることが必須要件だったのです」(片桐 氏)。

「一方のタブレット デバイスにも魅力がありました。持ち運びに優れており、指やペンによる入力も容易なタブレット デバイスであれば、授業の幅を広げることができます。普段の授業にはタブレット、文書作成には PC という形で使い分ける方法も検討しましたが、そこにはコスト面で問題があったのです。ちょうど同時期に Surface を始めとした 2 in 1 デバイスを各社が提供開始したのを見て、これだと感じました。タブレットと PC それぞれの利点を享受でき、かつ二重の投資も不要で、運用や保守の工数も 1 台分で済む。費用対効果を考えると非常にメリットの高い選択だと考え、Windows 2 in 1 デバイスを前提に、配付する機種の選定を行いました」(山田 氏)。

機種の選定について、同校では性能と操作性、携行性とバッテリの持ち、そして堅牢性の 5 点を要件とし、4 社の製品をもって検討が行われました。いずれの製品もスペック面では要件をクリアしていましたが、最終的には Surface Pro 3 の採用を決定したといいます。山田 氏は Surface Pro 3 に決定した理由について、次のように説明します。

「各製品それぞれに特徴があり、検討は難航しました。そこで参考として、実際に授業で使うことになる教員に向けて『授業で利用したいデバイス』の投票を行ったのですが、そうすると圧倒的に Surface Pro 3 へ票が集まったのです。まず 4 つの製品の中で最も性能が優れている点が高評価で、ついでペンの使い勝手など操作性の面でも評価が高かったです。細かい話なのですが標準サイズの USB ポートを搭載していることも現場の教員はメリットと感じたようでした」(山田 氏)。

教育現場では、導入した IT 機器 を概ね 5 年ほど使用することになります。その場合、現在では十分と思われる性能でも数年後には不足してしまう可能性も大いに考えられます。導入当初からできるだけ高い性能の製品を導入することは、現場の教員にとっては授業の効果を高めるだけでなく、維持する観点からも必須要素だったのだといえます。

加えて、2 in 1 デバイスなどの携行性を重視したデバイスは、USB ポートに Micro-USB などの小さいインターフェイスを採用することが少なくありません。そうすると、キーボードやマウス、USB メモリといった周辺機器の接続には変換アダプターが必要になり、利便性を阻害する要素となってしまいます。携行性や操作性に優れながら、フルサイズの USB 3.0 ポートを搭載する Surface Pro 3 は、その性能もさることながら、総合的に運用しやすい端末だと教員から支持されたのです。

数年後まで使い続けられる性能と優れた操作性、インターフェイスを含めた高い運用性を評価され、東海大学付属高輪台高等学校・中等部では 2014 年 12 月、Surface Pro 3 の採用を決定。システム面の構築とネットワークの整備を経た 2015 年 9 月より、生徒向けに 600 台、教員向けには 50 台が配付され、Surface Pro 3 を活用した同校の ICT 教育がスタートしています。

導入製品とサービス

  • Surface Pro 3
  • Surface Book

導入メリット

  • Surface Pro 3 を用いた双方向のコミュニケーションにより、授業内容の発展性が大きく向上し、アクティブ ラーニングの実現へ向けた教育を進めることができた
  • 授業内容をより視覚的に捉えたり、予測を立てたりということが容易にできるようになり、生徒の理解度が向上した
  • 従来あった PC 台数や教室の制限に伴うカリキュラムと教室調整の煩雑さがなくなった
  • 教員のデバイスを業務用と授業用で 1 本化したことで、利便性と運用面で効率化が行えた

導入の効果
Surface Pro 3 を用いた双方向のコミュニケーションにより、授業内容の発展性が大きく向上。従来あったカリキュラムや教室調整の煩雑さも皆無に。

東海大学付属高輪台高等学校・中等部では Surface Pro 3 を、教室ではなく各フロアのエレベーター ホールに設置する形式をとることで、教室で行われるすべての授業での活用を実現しています。1 階から 6 階まで同校すべてのエレベーター ホールに 4 基ずつ置かれたワゴンには、Surface Pro 3 が 1 基につき 25 台ずつ収納されており、授業で用いる際にはワゴンごと Surface Pro 3 を移動する形で運用しています。

ワゴンには、合計 25 台の Surface Pro 3 を、充電も兼ねて収納可能。各フロアのエレベーター ホールに 4 基設置されている

授業で利用する場合は教員が教室前にワゴンを移動。生徒がワゴンから Surface Pro 3 を持ち出す

Active Directory と学習支援システム「SKYMENU」を連携したシステムにより、ワゴンから取り出した Surface Pro 3 へ生徒の ID とパスワードを入力することで、自身の環境を復元することができる

授業内容に合わせて、タブレットとノート PC を使い分けて、各授業は進められている

ワゴンを用い、すべての教室にて Surface Pro 3 を活用した授業が行えるようになったことのメリットについて、山田 氏は次のように説明します。

「これまで特定の教室でしか行えなかった CALL や調べ学習の授業ですが、Surface Pro 3 であればどの教室でも行うことができます。さらに台数も、これまでのデスクトップ PC 150 台から Surface 600 台に増えたことで、ICT を活用した授業を同時に 10 クラス以上で行うことができるようになり、従来あった調整の煩雑さは皆無になりました。また、これまで ICT の活用へ二の足を踏んでいた教科であっても、積極的にそれを活用できる土壌が築けた点も大きいです。加えて、今回の取り組みでデスクトップ PC を設置していた PC 教室を 3 つ廃止でき、一般教室の拡充が行えました。ファシリティ面の拡張はそう気軽に行えるものではないため、この点も大きなメリットでした」(山田 氏)。

山田 氏が語るように、同校では従来の CALL や調べ学習だけでなく、国語や数学、理科、保健体育など、さまざまな授業において Surface Pro 3 を用いた ICT 教育が行われるようになったといいます。片桐 氏は、グラフィカルな教材を手元で表示したり、生徒の回答をクラス全員で共有したりといった形で、アクティブ ラーニングの実現へ向けた教育が推し進められていると続けます。

「導入からまだ半年ほどしか経過していない Surface Pro 3 ですが、既に教員や生徒には浸透し、授業で欠かせないツールという立ち位置になっています。たとえば理科の実験では、生徒が Surface Pro 3 に実験結果をメモすることで、数値の変化をすぐにグラフで確認できるようにしています。また、ある班の実験結果を共有することで、なぜこの現象が起きているのか、その要因がどこにあるのか、といったことを、実験後すぐに検討することができるのです。紙をベースとした授業では、実験中にここまで発展させることはとてもできません」(片桐 氏)。

理科の実験でも Surface Pro 3 が活用されている

実験結果を入力し即座にグラフを作成。結果について検討できる

「Surface Pro 3 を使うことで、授業内容をより視覚的に捉えたり、予測を立てたりということが容易にできるようになります。実際、授業における生徒の理解度がこれまでよりも向上していることを実感しています」と、山田 氏も通常の授業において Surface Pro 3 を活用する有効性について説明します。

また、同校では生徒向けだけでなく、教員用にも同様に Surface Pro 3 を 50 台導入しています。

「教員には 1 人 1 台配付しているのですが、教室に据え置きであるのと比較し自分専用のデバイスとなりますので、使い勝手がまず向上し、円滑な授業を実現できます。さらに生徒と同じデバイスであれば、授業で用いる際に生徒と同じ目線で進めることができるのです。加えて、2 in 1 ではあるものの液晶のサイズは 12 インチと大きく、教務でも十分に利用ができます。1 台のデバイスで学校に関する業務をすべて 1 本化できるため、利便性の面でも運用面でも非常に効率的になりました」(片桐 氏)。

今後の展望
家庭学習での Surface 活用を構想。Surface が 1 台あれば、どこでも学習できる環境を理想に掲げ、学習環境の改善と意識改革を進めていく

2007 年におけるアクティブ ボードの導入を始め、先進的に ICT の取り入れを行う東海大学付属高輪台高等学校・中等部。Surface Pro 3 の採用は、同校の ICT 教育をさらに一歩進めた取り組みとなりましたが、片桐 氏は今後の構想として、「適用範囲の拡大」と「教職員側の意識改革」の 2 点を挙げます。

「Surface Pro 3 をさらに活用するべく、ネットワーク インフラの強化を予定しています。既に地下 2 階から地上 6 階までは無線化が完了していますが、2016 年度中には地下 3 階の体育館にもネットワークを敷設し、体育の授業でも Surface を活用していく予定です。ICT 教育やアクティブ ラーニングは、当校にとって大きな特色であり強みになることは間違いありません。その優位性をさらに高めるべく、これら学習環境の改善と並行して、教職員の評価項目の中へ ICT 教育やアクティブ ラーニングに関するものを加えることで、意識改革も進めていきます」(片桐 氏)。

加えて、学校内のみでなく、自宅など学校外における Surface の活用も、同校では視野に入れています。

「Surface が 1 台あれば、どこでも学習できるという環境を理想としており、近い将来には Surface を家庭学習でも活用したいと考えています。現在、生徒の単位取得には物理的な教科書による授業が必須ですので、電子教科書の認可などの問題もありますが、そう遠くない未来に先の理想が実現していくことは間違いないでしょう。その未来へ向けて、環境の準備を進めていきます」(片桐 氏)。

「デバイスを、設置ではなく生徒へ配付する場合、セキュリティや利便性のバランスをどう取っていくかを考えておく必要があります。ネットワークをどこまで生徒に開放するのかという議論も避けることができません。マイクロソフトからは、デバイスやソリューションの提供だけでなく、当校の未来へ向けたアドバイスも受けながら、一緒にまい進していきたいですね」(山田 氏)。

文部科学省がアクティブ ラーニングと呼称し大きく期待される「学生自らが考え、解決していく力の育成」を、Surface Pro 3 の導入で推し進める東海大学付属高輪台高等学校・中等部。2016 年 4 月からは教職員向けに Surface Book を105 台導入し、職員朝礼と職員会議の完全ぺーパーレス化、Surface Pro 3 を用いた教材作成といった授業準備などに活用を始めるなど、同校の ICT 教育はさらに加速しています。先進的な ICT の取り入れは、成功例が少ないがゆえに自分自身で課題を解決していくことが求められます。東海大学付属高輪台高等学校・中等部ではこれからも、「答えのない問題」を解決するための実践を自身で行っていき、それをもった教育を生徒へ提供していきます。

ユーザー コメント
「Surface が 1 台あれば、どこでも学習できるという環境を理想としており、近い将来には Surface を家庭学習でも活用したいと考えています。現在、生徒の単位取得には物理的な教科書による授業が必須ですので、電子教科書の認可などの問題もありますが、そう遠くない未来に先の理想が実現していくことは間違いないでしょう。その未来へ向けて、環境の準備を進めていきます」

東海大学付属高輪台高等学校・中等部
校長
片桐 知己治

(マイナビニュース広告企画:提供 日本マイクロソフト)

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