過去2回にわたって、SQL Serverそのものに関する情報と、そのSQL Serverをバックエンドにするアプリケーションを開発するための情報源について、いろいろと紹介してきた。こうした情報を見てみることで、具体的にどんなツールを使ってどういう方法を使えばいいのかは、なんとなく理解できた(ような気がした)鈴木一郎君だった。

ところが、「百聞は一見にしかず」とはよくいったもので、やはり他人が書いたものを読むだけでは、いまひとつピンとこない。自分で実際に動かしてみる方が分かりやすいのは間違いない。さて、どうやって実現しよう?

体験版ではない無償版があるのにビックリ

TechNet OnlineではTechCenterを窓口として、それぞれの製品について体験版をダウンロードできる仕組みが整備されている。もちろんSQL Serverも例外ではないのだが、どうも今回は話が違うようだ。

「えーっと、やはり現物を動かしてみないことには、どうもピンとこないんだよなあ。まずは体験版、体験版っと… ん? このSQL Server Expressって何だ?」

Outlook Expressならおなじみだが、SQL Server Expressは初耳だ。リンクをたどってアクセスしてみたら…

「うわ、機能が限定的とはいえ、体験版ではなく、利用期間に制限もないSQL Serverが無償配布されているのか!」

SQL Server Expressという無償配布バージョンがある。開発者向けといえるが、これを使って構築したアプリケーションの配布も可能になっているのは太っ腹な話

SQL Serverには無償版のSQL Server Expresがある。これを使えば、持ち出しゼロでデータベースの機能を試すことができる。といっても、基本的にはデータベースアプリケーションを開発するための「データの入れ物」を提供するだけのものなので、それ以上の機能を求める場合には製品版の購入が必要になる。

たとえば、SQL Serverで構築したデータベースにアクセスするためのソフトウェアを開発、あるいはテストするには、実際にデータベースが動いていないと具合が悪い。開発のためだけに高価なSQL Serverを購入するのは不経済だし、業務用に稼働しているSQL Serverを開発・テスト用と兼用するのはリスクがある。そこで、主に開発者の利用を想定して、SQL Serverの中核機能だけを抜き出して提供しているのがSQL Server Expressというわけだ。

これを開発用のPCにセットアップして、さらにVisual Studioのような開発ツールをインストールすれば、SQL Serverをバックエンドとするデータベースアプリケーションの開発を行える。開発したアプリケーションの配布も行えるのだから、太っ腹な話だ。小規模な用途なら、これだけで用が足りてしまうかも知れない。それで能力や機能が不足したら、製品版を購入すればよいのだ。

インストールと学習

開発はそれでいいとしても、本番用のシステムを構築するときのことも考えておかなければならない。となると、SQL Serverの導入やデータベース構築などについても、情報をあたっておく必要がある。もちろん、TechNet Onlineにアクセスすれば、所要の情報はちゃんとある。

(参考)
SQL Server 2008 のインストール

ここでは、SQL Serverを導入する際に必要となる、計画立案のポイント、あるいは注意点について、それぞれ当該記事へのリンクがまとめられている。実際にドジを踏んでから慌てるよりも、事前にこの手の情報を確認しておく方が確実だ。参考にしたい。

また、以前に紹介したTechNetライブラリにもSQL Server関連の記事はいろいろあり、その中から「ハイライト」として直列リンクされているものもある。以下の3つの記事はいずれも、SQL Server 2008のTechCenterから リンクされているものだ。

SQL Server 2008 最初のインストール
SQL Server 2008 チュートリアル
SQL Server 2008 用語集

TechNetライブラリに用意されている、SQL Server 2008のセットアップに関する解説

さらに、チュートリアルのコンテンツも用意されている。自習書シリーズやバーチャルラボなどと併せて活用したい

用語集まで用意してある。知らない単語、馴染みが薄い単語が出てきたときの備えになりそうだ

既存のデータを流用するにはどうすれば?

「そういえば。部長の話だと、すでに部門単位でAccessを使って構築している業務用のデータベースが存在することがあるので、それついても新規導入するSQL Serverに移動して、管理の集中化とパフォーマンスの改善を図りたいということだったな。ということは、データの移行に関する調査も必要になるなあ」

こんな場面では、TechNet Onlineからは外れるが、以下のコンテンツが役に立ちそうだ。同じ「データベース」とはいえ、中身はまったく違う。データを確実に載せ替えるための手順を確認しておくことは、特に業務用のデータベースでは重要だ。ソフトウェアは買い直したり、あるいはセットアップし直したりすれば済むが、データが失われたら代わりがない。

(参考)
マイクロソフト Access から SQL Server への移行 - 「知る」

もちろんバーチャルラボもある

もうひとつ、導入後の運用・管理など、SQL Serverの基本的な機能についても学習する必要がある。「ラーニングカタログ」だけでなく、以前に本連載で紹介したことがあるバーチャルラボも利用できる。

本稿の執筆時点では、SQL Serverについては自習書シリーズのバーチャルラボが2種類と、SQL Server 2005の新機能体験用バーチャルラボがある。SQL Server 2005では新機能だったものがSQL Server 2008の標準機能になっていれば、SQL Server 2008のユーザー(またはSQL Server 2008の導入を考えているユーザー)にとっても役立つだろうから、決して「旧バージョンの情報では意味がない」なんてことにはならないと思われる。

(参考)
Microsoft SQL Server バーチャルラボ

また、以前に紹介したことがあるWebcastについても、ちゃんとSQL Server向けのコンテンツが用意されている。

(参考)
SQL Server 2008 Webcastシリーズ

まさに「これでもか」という感じだが、それだけSQL Serverが複雑な製品であり、技術情報の提供が求められるということでもあるわけだ。