肩こり、腰痛に悩まないクリエイターというのは少ないのではないでしょうか。そう言えるくらい、体の痛みに悩まされる方は多いかと思いますが、肩こり・腰痛が「なぜ」起こっているか、意識したことはありますか?

この連載では、忙殺され身体を酷使しがちなクリエイターが「健康的に創り"続ける"」ための知識を公開。敷居が高いイメージになってしまった「健康」を広く手の届くものにすべく活動されている鍼灸師・若林理砂さんが、忙しいクリエイターにもできる「健康への第一歩」につながるエピソードを語ります。第14回は、クリエイターの慢性病ともいえる肩こり・腰痛の「根っこ」について、若林さんが語ります。


若林理砂
1976年生まれ。鍼灸師・アシル治療室院長。高校卒業後に、鍼灸免許を取得し、エステサロンの併設鍼灸院で、技術を磨く。早稲田大学第二文学部卒。2004年、アシル治療室開院。著書に「養生サバイバル」「安心のペットボトル温灸」など。好きな漫画/アニメは「進撃の巨人」「FSS」「おそ松さん」。一昔前は腐っていました。「どの宮崎アニメにも必ず出演している」顔立ちといわれています。夫はクーロンズ・ゲートの人。TwitterID:@asilliza

クリエイティブ職の方のみならず、一般的なオフィスワーカーで肩こり腰痛に悩まされている方は少なくありません。座りっぱなしの仕事でPC作業が多いから仕方がない……とあきらめていらっしゃる方がほとんどでしょう。ですが、座って行う作業でも肩こりや腰痛を悪化させない方法はあります。

自分の体の「ステータス」を知る

ところで、皆さんは「体の力を抜くこと」は、上手にできているでしょうか?

肩こり・腰痛が持病になっていらっしゃる方は、整体やマッサージ・鍼灸でメンテナンスを受けていることが多いかと思います。そこで先生に、「日常的に、もう少し体の力を抜いてください」と言われたことがある人もいるのではないでしょうか。

「体の力を抜く」ということが何なのか、よくわからない方はたくさんいらっしゃるのです。

体の力を抜くには、自分の体がどのようなステータスになっているか、常に自覚的でないとそうすることはできません。大抵の場合、中途半端に力が入りっぱなしになっており、体が脱力したいわゆる原点、ゼロポイントの状態が全く分からなくなっているのです。

このような場合、体に常時20~30%程度の力が入ったまま、意識することなく生活し続けていて、夜眠るときもゼロポイントに戻ることがありません。ですから、朝起きた瞬間から肩こり・腰痛を感じるようになってしまいます。

本来、横になって眠った場合は体の力がすべて抜けてゼロポイントに戻るため、筋肉の疲労によって起こっているとされる「コリ」は眠ることで解消されるはずなのです。熟睡している子供を持ちあげたことがありますか? もしくはリラックスしたネコを持ちあげた経験はおありでしょうか?ゼロポイントに戻っている体は、まるで液体になったかのように柔らかくなるのです。

体の力を抜く方法

「 そう言われても、ピンと来ない」、あるいは「体の力を抜こうと思っても、うまくできない」という方は、まず、思い切り力んでみましょう。100%の力を入れてやり、脱力することを繰り返すことでゼロポイントに戻った感覚を培うことができます。

やり方は簡単。息を吸いながら力を入れ、吐きながら一気に脱力することを数回繰り返します。肩を脱力させるならば、肩を思い切り首に近づけるよう力ませて、息を吐きながら一気に脱力させます。腰痛の場合は横になって行ったほうが感覚をつかみやすいでしょう。同じように息を吸いながら背中全体を力ませ、息を吐きながら一気に脱力させます。

このようにして、まずゼロポイントを作り出したうえで、姿勢を構築していくことが大切です。コツは「積み上げる」ことです。

次回は、部位ごとに「姿勢の作り方」についてお伝えします。