【連載】
今回は、某ソフトウェアメーカーでSEとして働く25歳のA子さんを例に、「女性エンジニアと深夜残業」について考えてみます。
彼女は中途入社2年目。5名の開発チームの中では2番目に高いスキルを持っていて、周囲からも頼られる存在です。チームの中で女性はA子さんだけですが、仕事の内容に関しては男女差別を感じていません。
とあるパッケージ製品のリリースを控えて緊迫した雰囲気が漂うある日、A子さんのチームは、「チーム全体の進捗が遅れているから、今日から全員で残業!!」と朝の会議で上司から告げられました。
その日の午後、A子さんだけが課長に呼ばれ、「君は女の子なんだから夜遅いと危ないし、残業は20時までにして帰りなさい。私からチームのみんなには言っておくから」と一方的に言われました。 さて、この時A子さんはどのように感じたと思いますか?
筆者も20代からプログラマーとして働いていますが、若い時ほど「誰よりも頑張らなくてはっ!!」と思っていたのを今でも覚えています(「じゃあ今は何歳?」というツッコミがありそうですが、それはヒミツです)。
A子さんのように、納期に間に合わすため、または急なトラブル対応などで残業しなくてはならない状況が発生するのは、IT業界では珍しくないかもしれません。筆者も残業は数えきれないほど経験しましたが、その中で、やはりA子さんと同じく、継続的にしばらく残業が続くことが決定した時に、「女性は夜が危ないから、君は残業せず帰ってもらう」と、決定事項として伝えてくれた上司がいました。
当時の筆者の正直な気持ちとしては、上司の気遣いをありがたく思う反面、とても残念で悲しい気分になりました。理由は、(1)作業量は変わらないため、残業できないと進捗が遅れることになる。(2)チームの一員として皆(男性)と同じように扱ってほしかったし、責務を果たしたかった。(3)若く健康だったし、家人が駅まで迎えに来てくれるので帰り道は危険ではなかった。(4)意欲に溢れていて、仕事を中途半端に残して帰りたくなかった。この4つです。
今思うと、このように考えていた自分を「若かったなぁ?」と思ってしまいますが(笑)、当時の筆者にとって一番大切だったのは、「早く認められる仕事がしたい」ということでした。ですから、その妨げとなる上司の判断に非常に気落ちしたのを覚えています。
さて、次回は男性の反応と筆者が運営しているコミュニティ「eパウダ~」に所属している女性エンジニアたちの生の声をお届けします。
執筆者プロフィール
藤城さつき(Satsuki Fujishiro)
コンピュータ関連業界で働く女性のためのコミュニティ「eパウダ~」を運営。男性が多いこの業界における女性の人間関係・働き方・生き方について日々模索中。株式会社タンジェリン 代表取締役。
『出典:システム開発ジャーナル Vol.3(2008年3月発刊)』
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