前回は、ファイル共有の手始めとして、SharePointサイト上のドキュメント ライブラリに単純にファイルを格納する方法を説明しました。今回は、より詳細な基本機能の使い方を説明します。

プロパティの利用と表示 (ビュー)

SharePoint上でのファイル管理の特徴の1つが、プロパティを様々に活用できることです。プロパティを活用することで、日々蓄積されるファイル群から目的のファイルを見つけ出すのに、いちいちファイルを開いて内容を確認しなくても、素早く見つけ出せるようになります。ファイルサーバ上の共有フォルダなどでもプロパティ表示はできますが、利用できるプロパティは限定的です。しかしSharePointの場合は、SharePointが既定で内部的に定義しているプロパティだけでなく、独自のプロパティをユーザーが複数定義できます。

SharePoint上でのプロパティ活用の操作の流れは次の通りです。

1.プロパティを定義する(サイトの管理者、ドキュメントライブラリの管理者)
2.ファイルに設定したプロパティに値を入力する(サイトの利用者)

1.プロパティを定義する

SharePointでは、ファイルに設定されるプロパティは「列」という呼び名で定義します。列には次の種類があります。

列の種類 説明
システム列 SharePointが既定で定義している内部列です。作成日時、更新日時、作成者、更新者、ID、バージョン、ファイル サイズなどがあります。ユーザーはこの定義を変更することはできません。
リスト固有列 ライブラリごとにユーザーが設定する列です。※SharePointにおいては、広義では、ライブラリもリストの一種であるためこのような名称になっています。
サイト列 サイト内で共有して利用する列であり、ユーザーが設定します。複数のライブラリで同じ列定義が必要な場合に使用します。サイト列は定義したサイトとサブサイトで共有されるため、事前に利用計画をしっかり立てておく必要があります。

最もよく利用されるのは、リスト固有列です。列の定義は非常に簡単であり、リストに対して新規に列を追加する際に、列名、列に格納する情報の種類、必須の可否、既定値などを指定します。

列の定義画面

2.プロパティに値を入力する

ライブラリに対するプロパティ定義が終わったら、次の3つの方法でプロパティに値を入力します。

・ファイルアップロード時に入力する
・ファイルアップロード後に[プロパティの編集]メニューから入力する
・ライブラリのテンプレートから新規にファイルを作成する、またはファイルアップロード後にWord、Excel、PowerPointといったOffice 2007/Office 2010アプリケーション内から入力する

ファイル アップロード時。Windowsエクスプローラーからアップロードする際にはプロパティ設定画面は表示されないため、列に定義されている既定値が設定される

[プロパティの編集]メニューを選択

プロパティに値を入力する

Office 2007/Office 2010では、ドキュメント情報パネルという仕組みが導入されており、SharePoint上で定義したプロパティをアプリケーション内から参照できるようになっています。さらに、Word 2007とWord 2010の場合は、「クイックパーツ」という機能が利用できるようになっており、SharePointのプロパティをドキュメント内のフィールドとして挿入することも可能です。このようにすることで、プロパティがドキュメントの一部となるため、ユーザーはプロパティを設定していることを意識せずに、ドキュメントを完成させることが可能です。

Officeアプリケーション内のドキュメント情報パネル

ドキュメント情報パネル側とクイックパーツは連動しているため、どちらからも値を入力できる

ファイルを一覧表示する

プロパティは、ファイルの一覧表示をする際に同時に表示することも可能です(プロパティの表示はファイル単位でも行えます)。一覧表示画面は、SharePointでは「ビュー」と呼びます。ビューは、ドキュメント ライブラリの管理者(サイトの管理者も含まれる)が定義できるようになっており、ユーザーに対して表示したい列、表示する列の順序、並び、フィルター、グループ化などが可能になっています。

ビューの定義

既定ではフォルダ内もライブラリ全体のビューが適用されますが、フォルダごとに異なるビューを設定することも可能です。フォルダの利用目的に応じた列のみを表示できます。ビューは複数作成できるようになっており、ユーザーは必要に応じてビューを切り替えて必要なファイルを見つけ出せるようになっています。

ビューの切り替え

また、ドキュメントライブラリでは画面左側の領域に「ナビゲーション階層」と「キー ィルタ」を表示できます。ナビゲーション階層には、フォルダの階層および複数選択肢を持つ任意の「列」を表示できます。ユーザーが選択肢から任意の値を選ぶと、その条件でファイルがフィルター表示されます。キーフィルターでは、フィルター条件を指定できます。条件に利用できる主な列は次の通りです。

・コンテンツ タイプ
・チェック アウト先
・更新者
・更新日時
・作成者
・作成日時
・ユーザーが定義したリスト固有列

たとえば、作成日時の列を指定すると、「指定した日」、「指定した日以前」、「指定した日以降」といった条件でのフィルターが可能となります。更新者や更新日時といったシステム列はナビゲーション階層では指定できないため、ナビゲーション階層とキー フィルターを組み合わせて利用することで、ナビゲーション階層で選択した条件表示からさらに絞り込んだ表示が可能になります。

ナビゲーション階層とキーフィルター

山崎 愛(YAMASAKI Ai) - オフィスアイ 代表取締役

1999年よりマイクロソフト認定トレーナとして、マイクロソフト製品の技術教育に従事し、システム管理、.NETアプリケーション開発などに関する研修コンテンツの企画、開発、実施を行う。2008年4月にオフィスアイを設立。現在は"SharePoint Server"に特化したコンサルティング、技術研修、ソリューション開発およびサイト構築支援などを行っている。 2004年に米MicrosoftよりSharePointの分野にて日本初のMicrosoft MVP(Most Valuable Professional)として表彰され、以後現在まで連続受賞。主な書籍に、「ひと目でわかるSharePoint Server 2007(日経BPソフトプレス)」、「VSTOとSharePoint Serverによる開発技術(翔泳社)」がある(いずれも共著)。