ロボットを楽しむ方法の1つは、何かの大会に出ることである。ホビーロボットの大会には、バトル、サッカー、アスリート系など、様々なタイプがあり、東京・大阪・福岡を中心とした各地で、一般向けの競技会が盛んに開催されている。ロボットは決して安くはない買い物であるだけに、積極的に出場して遊び倒して欲しい。

ROBO-ONE Lightとは?

「ROBO-ONE」は、最も有名で歴史も古いロボットバトルの大会である。出場ロボットのレベルは非常に高く、立って歩くのがやっとだった第1回大会(2002年)に比べるとすでに隔世の感がある。近年は巨大化も進んでおり、ついには人を乗せて歩くことができるロボットまでも登場したことは記憶に新しい。

参加者のレベルを上げるために、無理難題とも言えるような課題(※)を与え続けてきたROBO-ONEであるが、しかしその一方で、難易度の高さ故に、新規参入の難しさも課題となっていた。そこで新設されたのが「ROBO-ONE Light」。市販のロボットキットをそのまま使って参加できるよう考えられたビギナー向けのカテゴリである。

※例えば…
第12回大会(2007年):キャッチボール
第11回大会(2007年):縄跳び
第10回大会(2006年):うさぎとび
など

ルールはROBO-ONE本戦に準じる。試合は3分1ラウンド制で、この時間内に、相手から3ダウンを奪った方が勝ちとなる。ダウンは有効な攻撃によるものだけが認められ、その判断はレフェリーに委ねられる。3分で決着が付かないときは、その時点のダウン数で勝敗を決め、同点のときは2分間の延長もある。

2010年3月20日、川崎市産業振興会館(神奈川県川崎市)において、この第1回大会が開催された。筆者もKHR-3HVで出場してきたので、連載はちょっと中断して、今回はこのレポートをお届けしたい。

会場となった川崎市産業振興会館。ロボットイベントでは定番の場所

着いたらまず受付。しかし参加者でごった返しており、行列になっていた

ROBO-ONE Lightのリング。リングアウトも1ダウンになるので注意

会場内。こういった大会では、雰囲気に飲まれないこともポイントの1つ

機体のレギュレーション

ROBO-ONE Lightに出場できるのは、公認された市販機、または重量1kg以下の自作機となる。

一応、オリジナルの自作機の参加も可能となってはいるが、バトルにおいて、重量は非常に大きなファクタである。強力なサーボモーターになるほど重いので、1kg以下という厳しい制限では、比較的非力なものを使うしかない。それに対し、例えばKHR-3HVの重量は約1.5kgもある。自作機にはかなり不利なレギュレーションになっていると言える。

初戦の相手となった自作機の「梅・小鉢」。アルミの肉抜きをして、ギリギリまで軽量化している

自作機にはユニークな機体が多い。このロボットはサイコロから変形して戦っていた

一方、市販機であっても、改造によって強力になるのは本来の主旨に反するために、大きく制限されている。機種ごとに、利用可能なオプションパーツは指定されており、それ以外を使うことは禁止されている。また「マニュアル通りに組み立てる」という指定があり、筆者のKHR-3HVはサーボの位置を入れ替えていたため、大会前に戻しておく必要があった。

カラーリングは自由。同型機との対戦だと区別が付かなくなるので、チームカラーのライトグリーンに塗装しておいた

頭にもワンポイント。ハチマキに見えるが、じつは宴会ネクタイ。「やる気のなさ」を表しているのだ

公認ロボットについては、こちらのページに一覧が出ている。サーボモーターのトルクや、ロボットの重量などにはバラつきがあり、バトルには有利/不利があるが、今回の大会では、「TINYWAVE」(11機)、「BIOLOID PREMIUM Kit」(13機)、そしてKHR-3HV(10機)といった最新機種での参加が目立った。全参加台数は62台だった。

ロボットのハードウェア構成は変えようがないので、勝負は、モーションの作り込みと、あとは操縦技術や戦略にかかってくる。だが今回、筆者は準備の時間がなかったために、モーションはメーカー(近藤科学)が公開したバトル用モーションをそのまま使用した。サンプルとはいえ、プロが作ったものだけに、これでも十分強力。もともとKHR-3HVも公認ロボットの中では強力な部類なので、戦い方次第では上位にも食い込めるはずだ。

動画
攻撃のモーション。前方へは「ダブルパンチA」、横方向へは「横パンチB」が用意されている。「キックA」もあるが、よほど体格差がないと、これで倒すのは厳しい(wmv形式 1.4MB 10秒)

ちなみに、筆者は今までロボットサッカーは散々やってきたが、バトルはこれが初めて。さすがに練習なしで行くのもどうかと思ったので、前々日に秋葉原のROBOSPOTに行き、調整も兼ねて練習してきた。このショップでは、KHR-3HVの組み立て講座や、練習会なども行われている。大会に出るのであれば、いろんなノウハウも聞けるこういう場所を積極的に利用したいところだ。

いざ当日

そして迎えた大会当日。初戦の相手は自作機の「梅・小鉢」だった。

前述の通り、筆者にとっては初の試合である。どうやって勝てばいいのか、手探りの中での試合だったが、とりあえずダブルパンチで先制すると、横パンチで2本連続ダウンを奪い、あっさりと勝利。このあたりはやはり、ロボットの重量差が大きく出た印象だ。

動画
ROBO-ONE Lightの1回戦。3-0でストレート勝ち(wmv形式 5.24MB 1分16秒)

2回戦では、同型機との対戦となった(相手ロボット名は「KHR-3HV」とそのまま)。待ち時間中に、いくつか新しいモーション(「攻撃しながら横移動」「後ろパンチ」)も作成したのだが、これがまた実戦では全く「使えない」。結局、ダブルパンチをメインに戦い、相手の背後を狙うようにしたが、これが狙い通り決まって3-0で勝利した。

動画
ROBO-ONE Lightの2回戦。同型機なので性能は同じ。戦い方の勝負となる(wmv形式 5.73MKB 1分23秒)

さて、1回でまとめるつもりだったが、説明が長くなってしまった。3回戦以降の顛末についてはまた次回にしたい。

というわけで、次回は、

  • おっさんライター、子供を泣かせる
  • 日韓戦と化したトーナメント
  • え? ROBO-ONE本戦に出場?

の3本で~す(本当)。