日本でも「生産性」がトレンドワードとして喚起されていますが、各方面でも、業務を自動化するソリューションであるRPA(Robotics Process Automation)を使ったサービスが取り上げられる機会が増えており、注目度の高まりを日々感じています。最近ではRPAをテーマにした書籍も出版されるなど、「クラウド」や「Fintech」が関心を集めた時と類似した動きがRPAにおいても活発化してきている様子が見受けられます。

しかし、認知・普及ともにまだまだこれからという感じる国内市場においては、「RPAって最近聞くようになったけど、実際どうなの?」という声が多く聞こえるのも実情です。そこで今回は、海外で先行するRPAサービスとその活用事例をご紹介し、具体的に企業内部で何を目的とし、どのように業務自動化の取り組みがなされているのかをテーマにお話してまいります。

英Blue Prism社~「RPA」を提唱したパイオニア~

ロボティック・オートメーション・ソフトウエアの「Blue Prism」は、2008年イギリスでスタートし、2012年に世界で初めて「RPA」という概念を提唱した業界の先駆者です。今ではアメリカ4カ所に拠点を持ち、安定的に成長を続けています。Blue Prismは下記の要領で人間の作業を記憶し、定型業務を自動化する仮想ロボットを提供しています。

  1. 開発ツールで自動化させたい業務オペレーションのシナリオを記憶
  2. 管理サーバーに作成した業務シナリオをアップ
  3. サーバーから仮想ロボットがPC環境に転送され、シナリオに沿って業務を代行

開発ツールを使い、上記のような手順で業務シナリオを構築

わかりやすく言うと、ブラウザ上で稼働するマクロのようなイメージです。 こちらのマクロ型のRPAはとても簡素なものであり、数あるRPAサービスの一いちプロダクトでしかありません。しかし、たったこれだけの機能が世界的な企業のバックオフィス業務を変え、大きな効果をもたらしています。

RPA活用事例~仮想ロボットが顧客データベースにログイン~

英大手携帯通信事業者(現香港企業傘下)のTelefonica O2社はBlue Prismの提供するRPAサービスを他社に先駆けて導入しています。顧客データベース内のSIM情報変更作業をロボットが担っており、シナリオを記憶した仮想ロボットが顧客データベースにログイン、SIM情報を新しいものに書き換え、ログアウトするという一連の作業を代行しました。

上記のSIM情報の書き換えに加え、その他15の業務を合計160体のロボットが代行することになりました。その後の調査によると、100FTE(8時間で1週間のフルタイムワーカーの労働量)を削減し、RPAの投資対効果は650~800%に上ったといわれています。

内部管理体制とRPA~大事な情報は~ ロボットが直接顧客情報に接触すると聞くと直感的に反発したくなるのも人情ですが、なるべく人的要因を排除しシステマチックな業務フローを構築することが、管理体制も優れた企業であるための必須条件です。顧客情報のような情報漏えいなどが絶対にあってはならないデータを扱う場面でこそ、不正やミスを未然に防ぐソリューションとしてRPAが活用されるべきです。

実際、IPOを検討するようなフェーズの成長企業では、内部統制を整備する段階で業務管理システムの導入を勧められるケースも多く、オペレーション整備を目的としたRPAの導入が進んでいます。また、企業のお金を扱う決済領域でも、内部管理の観点から極力属人性を排除した業務フローを構築する目的でRPAサービスを検討する企業は増え続けており、企業内部のお金は人の手を離れる方向に変わろうとしています。

Cloud Payment マーケティング部

田端佑也

株式会社Cloud Paymentに新卒で入社後、継続請求管理ロボット「経理のミカタ」のブランディングやコンテンツライティングなど、マーケティング領域を担当する。現在では、経理のミカタに加え、オンライン決済サービスを含めた全社的なマーケティング、広報、経営企画にも携わる。