人事評価システムや人事コンサルティングを手がけている「あしたのチーム」が、年功序列制の評価に関するインターネット調査を実施した。

これが実態! 自社では「年功制」が強いと回答した従業員は63.6%

従業員に対し、会社の人事制度や慣習では「年功序列」と「成果主義」のどちらが強いと感じるか聞いたところ、「『年功序列』の人事制度や慣習が強い」「どちらかというと『年功序列』の人事制度や慣習が強い」と回答した方が合わせて63.6%となった。一方、「『成果主義』の人事制度や慣習が強い」と感じる方は全体の36.5%という結果となり、「年功序列」と「成果主義」の差は27.1ポイントだった。

「あなたの会社の人事制度や慣習では『年功序列』と『成果主義』のどちらが強いと感じますか(単数回答)」に対する回答

年功制廃止について、従業員はこう思っている

年功序列制度廃止についての気持ちを聞いたところ、「良いと思う/まあ良いと思う(40.8%)」、「どちらとも言えない(41.5%)」、「あまり良くないと思う、良くないと思う(17.8%)」という結果となった。

年功制廃止の賛否の理由については、「良いと思う」方と「良くないと思う」方で違いが明らかになった。年功制廃止を「良いと思う」と回答した方の1位は「賃金と頑張りが連動するから(38.0%)」となった。「良くないと思う」と回答した方の1位は「社内の士気に影響があるから(32.4%)」、2位「社内の雰囲気に影響があるから(33.8%)」となり、3位にもっとも意見の乖離する項目として「目先の成果に関心と努力が集中するから(26.8%)」という結果になった。年功制廃止をネガティブに捉えている方は年数を積み重ねることへの重要性を訴えているのかもしれない。

従業員が思う年功序列制度のメリット・デメリット

年功序列制度のメリット・デメリットについて回答してもらったところ、メリットの1位は「上司が部下を指導しやすい(53.5%)」、デメリットは「成果や頑張りが昇進や賃金アップに反映されない(51.8%)」という結果が出た。

「あなたが思う年功序列制度のメリットをお答えください(複数回答)」に対する回答

「あなたが思う年功序列制度のデメリットをお答えください(複数回答)」に対する回答

従業員が答える! 年功制を廃止したら成果を出すのは若手とベテランどちら?

「『年功序列制度廃止』で成果が上がるのは、「若者(20~30代)」と「ベテラン(40代以上)」のどちらだと思うか聞いたところ、年功制の賛否に関わらず「若者(20~30代)」と答えた方が最も多い結果となった。

一方、年功制廃止に賛同する方は「両方とも成果があがる」のではとポジティブな回答が多く、年功制廃止に反対する方は「成果に変化はない/両方とも成果が下がる」とネガティブな回答をされている方が目立った。

「年功序列制度廃止」で成果が上がるのは、『若者(20~30代)』と『ベテラン(40代以上)』のどちらだと思いますか」に対する回答

年功序列制度廃止により成果が上がるのは若者である、という回答が圧倒的に多くなったわけだが、これは多くの優秀な若者が成果を上げても給与に反映されていない現状があるということの裏返しでもある。頑張っても給与に反映されない現状が続くようであれば、どうなるか? おそらくその若者は頑張らなくなるか、会社を去るかのどちらかになるだろう。いずれにしても会社にとっては好ましくない結果となるわけである。

横並び主義で、頑張っても頑張らなくても評価がさほど変わらず、そして給与にも反映されないという評価制度を維持することは、会社にとって財産である人材を失い、ひいては企業体力を弱め競争力を失ってしまうことにもつながってしまう。

そうした視点であらためて人事評価制度の見直しを行い、社員が満足する人事評価制度を構築することは、外部との競争に勝ち得ていくためにも重要な要素だといえるのである。

調査の方法

WEBアンケート方式で実施。
従業員300名未満の会社で、従業員の方400名を対象。
調査実施日:2014年2月26日(水)~2014年2月27日(木)

執筆者紹介

あしたのチーム 代表取締役社長 高橋恭介

1974年生まれ。大学卒業後、興銀リース株式会社にてリース営業と財務に2年ずつ従事した後、設立間もないプリモ・ジャパン株式会社に入社。副社長として、数十名の企業から従業員数500名規模およびブライダルリングシェアNo.1まで拡大。人事にも深く携わり、年間数百名の採用面接を実施。
海外にも会社を立ち上げ、台湾子会社代表を歴任するなどベンチャー企業の成長を最前線で実感し、2008年にあしたのチームを設立。

書籍紹介

会社選びの新基準

著者 : 高橋恭介
発行 : 学研マーケティング 2015年4月7日

終身雇用・年功制という従来の日本型経営がほぼ破滅してしまったいま、社員一人ひとりの能力が真に問われていきます。そのような時代を迎えたいまこそ、売り手市場といえども、一回の選択ミスが人生を台無しにしてしまう可能性もあるのです。企業もまたシビアに選ばれる立場となりました。
人事評価はビジネスパーソンにとっては、自分を正当に評価してくれるシステムであり、経営者にとっては優秀な人材の流出を防ぎ、さらなる優秀な人材を採用できる、経営者もそこで働く従業員も幸せになれるシステムだと信じています。