本連載は、簡単かつ即効性のあるITを用いてビジネスの効率を上げるための方法を紹介している。最初に選んだテーマは「Gmail」。Gmailを活用して、会社以外の場所からも会社のアドレス宛てのメールが読めるようにしたい。3回目となる今回は、携帯電話でGmailを利用する「モバイルGmail」を紹介しよう。

携帯電話でのメールチェック

図1 モバイルGmailの説明画面

モバイルGmailを使うと、携帯電話のWeb画面でGmailをチェックすることができる。携帯電話からGmailへのアクセスについては、モバイルGmailのページに詳しく掲載されている(※1)。同ページにはURLのQRコードも表示されるので、それを利用してもよいだろう(図1)。

※1:モバイルGmailの説明画面はGmailのトップページから開くことができる。

前にも話したが、モバイルGmailでは受信トレイのメールだけが表示され、迷惑メールにフィルタリングされたメールは表示されない。また、メールのタイトルだけが表示されるので、必要なメールだけを選択して確認することが可能だ。

実際に使うと、携帯電話で会社のメールを簡単にチェックできるのは、大変便利であることがわかると思う。当然、急ぎの要件に対して電話で応対したり、Gmailからメールを返信したりすることが可能になる。

モバイルGmailは携帯電話のメール機能ではなく、Web画面を用いる。そのため、パケットが用いられるので、通信料金には注意していただきたい。

携帯電話へのメール転送

図2 携帯のメールアドレスを入力すれば、受信トレイに受信したメールだけを携帯電話に転送できる

モバイルGmailよりも携帯電話のメールのほうが使いやすい場合は、外出時だけ携帯電話のメールアドレスに転送するのもいいだろう。Gmailを使えば、迷惑メールはフィルタリングされるので、必要なメールだけが携帯電話に転送されるようになる。

メール転送の設定は「メール転送とPOP/IMAP」画面で、転送先のメールアドレスを入力するだけでよい(図2)。簡単に転送のオンオフが切り替えられるので、必要な時だけ有効にしてもいいだろう。

1日1回は迷惑メールをチェックする

図3 必要なメールが迷惑メールと判断される場合もあるので最低1日1回はチェックしたい

Gmailの迷惑メールフィルタは強力だが完全ではないため、たまに、必要なメールを迷惑メールと判断してしまうこともある。

そこで、最低でも1日1回は迷惑メールフォルダを除いて、必要なメールが迷惑メールになっていないかを確認したい。もし、迷惑メールになっている正常メールを発見したら、選択欄にチェックを付けて[迷惑メールを解除]ボタンをクリックして、迷惑メールから正常メールに戻しておく(図3)。

会社のメールソフトでGmailのメールを受信する

さて、Gmailを使った会社メールの受信は外出の多いユーザーには大変便利な方法である。しかし、Gmailで会社メールを受信すると、会社のメールソフトと2つのメール受信環境ができてしまうことになる。

本連載で紹介したGmailで会社のメールサーバにメッセージを残しておくという設定なら、会社のメールソフトでもGmailで受信したメールを受信できる。よって、受信メールに関しては、メールソフトとGmailは同じ状況となるわけだ。

しかし、Gmailからメールを返信したり、新規メールを送信したりした場合が問題だ。会社のPCのメールソフトには、Gmailから送信したメールの送信履歴が残らなくなるからである。今や、電子メールはコミュニケーションを記録した大切なデータベースであるため、できればGmailは出先だけで利用するようにして、最終的にはPCの電子メールソフトで管理したほうがベターである。

そこで役立つのが、GmailのPOPダウンロード機能だ。この機能を有効にすると、会社のメールソフトでもGmailで送受信したメールを受信することが可能になる。サーバに残したメッセージを受信するのと同じように見えるが、GmailのデータをPOPダウンロードする場合、次の2つのメリットがある。

●迷惑メールフォルダのメールは受信しない
●Gmailから送信・返信したメールも受信できる

図4 「POPダウンロード」を有効にしたら、設定手順を参照して、電子メールソフトにGmailからの受信設定を行う

Gmailから受信したメールは迷惑メールフィルタでフィルタリングされているので、電子メールソフトで迷惑メールを判別して削除する手間が省ける。また、Gmailから送信したメールの内容も電子メールソフトで受信されるので、送信済みフォルダに移動しておけば、Gmailのメール内容と電子メールソフトの内容は同じものになる。

Gmailの内容を電子メールソフトで受信するには、「メール転送とPOP/IMAP」画面の「POPダウンロード」でPOPを有効にするにチェックすればよい(図4)。

あとは、電子メールソフトに、Gmail受信用のメールアカウントを追加すればOKである。その際、電子メールアドレスは、Gmailのメールアドレス(xxx@gmail.com)ではなく、会社のメールアドレスにしておく(図5~7)。

図5~7 会社のメールサーバの設定から、Gmailのサーバの設定に変更する(画面は、Windowsメールの設定画面)

会社のメールアカウントは同期しない

元からあった会社のメールサーバ用のメールアカウントは、Gmailと二重取得にならないように、自動受信しないように設定を変更しよう。

会社のメールサーバのコピーを残さないようにする

電子メールソフトでGmailのメールをダウンロードできるようにしたら、会社のメールサーバのメッセージのコピーを残しておく必要がなくなる。電子メールソフトでメールを受信するためにコピーを残しておいたが、Gmailから同じ内容をダウンロードできるので、同じメールを2回受信することになってしまうからだ。

よって、忘れずにコピーを残す設定を解除しておこう。それには、[アカウントとインポート]設定画面を表示して「POP3 を使用したメッセージの確認」の[情報を編集]をクリックすると、「メールアカウントを編集」画面が表示されるので、「受信したメッセージのコピーをサーバーに残す」のチェックを外せばよい(図8、9)。

図8 [情報を編集]をクリック

図9 「受信したメッセージのコピーをサーバーに残す」のチェックを外す

Gmailを賢く使おう

Gmailは無料でありながらさまざまな機能を持っており、設定によってさまざまな用途で利用できる。そして、Gmailは日々進化しているので、ほかにも便利に使える方法があるかもしれないので、探してみてもらいたい。

なお、企業のセキュリティによっては、外部からのメール受信が禁止されていたり、社内からGmailへのアクセスができなかったりするケースがあるはずだ。そのような場合は今回紹介した方法が使えないことを理解いただきたい。