使い慣れたツールがあるのに、新しくて魅力的に見える新製品をつい試したくなる。Web上のRSSリーダーや情報整理ツールを使っていても、こんな事がよく起こります。さて問題は、それまで古いツールを使いながら、ためてきたデータの活用法です。簡単に新しいツールへ移行できればよいのですが。

あるある問題:あちこちにデータがちょっとずつたまっていて…

はてなブックマークは言うまでもなく、はてなダイアリー、Googleノートブック、diigo、EVERNOTE、「あとで読む」、紙copiなどなど。このコラムで紹介したツールなどもそうですが、とにかくいろいろな「情報整理ツール」が提供されます。どれも有益そうだし、こうしたサービスをチェックするネットユーザーは「新しもの好き」ということもあって、次々にはしごしている方も少なくないでしょう。

新しいものを「試してみる」ということを悪く言う人はあまりいませんし、実際、進取の気性が賞賛される時代と環境ではありますが、自分でやっていると、面倒な事態に陥りがちだと気づきます。というのも、たとえ短期間でも新しいサービスを試してしまうと、そこに「有益な」情報がたまります。プログラムなどが簡単に自作できる人ならいいのでしょうが、私の場合、情報を簡単に移してくれるサービスがわかりやすい形で提供されていないと、新しいサービスを見つけてそれに移行するとき、以前のサービスにため込んだ情報は、置き去りにされることになります。

「別にかまわない」と割り切ればいいのでしょうが、若干未練も残ります。こういうのをどうしたものかと、よくアタマを無駄に悩ませています。テキストなどの情報を、いちいちコピーする時間と手間をかけるのは、いかにも無駄な気がするし、実際そこまでヒマではありません。

ライフハック:自分のアーカイブをリファレンスにする

私はこの問題で、結構長く悩んでいたのですが、先日からすっぱり割り切って、簡単な解決策を実行中です。すなわち、自分で途中まで使っていたサービスを、「リファレンスサイト」として扱うようにしたのです。もちろん、日経テレコン21などのような本格的なリファレンスサイトがありますが、自分が過去に使っていたオンラインブックマークなどのサービスにためてあるデータは、何らかの意味で自分が「いい」と思ったのですから、そこから意外と「掘り出し物」が見つかることがあるわけです。 「一元化」することの重要性は分かっていても、新しいサービスを試用してみたくなるのは人情というものでしょう。それも、ある程度の期間試してみないと、使い勝手が十分なのかどうか、判断ができません。

新しいサービスを初めて使う頃は、どうしても判断基準が甘くなります。サービスの目新しさもありますし、そもそも「期待している」気持ちが手伝って、「少々の」使いにくさには目をつぶってしまいがちです。

具体的な例を挙げるなら、私はかなり長い間、Femoというサービスを使っていました。オンライン上にカレンダーとタグでメモを管理するという画期的なサービスで、今でもこのサービスは画期的だったと思っていますが、結局のところ、基本的にオンライン上だけでメモを管理するという方法が、自分には向かなかったのです。

また、タグクラウドで基本的にメモを分類するというのも、メモがあまりに膨大になると、容易でないことがよく分かりました。

そういうわけで、Femoにメモを保管したり、ブックマーク代わりに使うのはやめたのですが、それにしてもそれなりの期間利用していたため、かなり膨大な情報がそこに残ってしまいました。

一時、努力してEVERNOTEなどへデータ移行していたのですが、考えてみると実に馬鹿馬鹿しいことをしていると気がつき、今ではただ、自分のFemoをリファレンス代わりにするようにしています。つまり、FemoのURLをブックマークしておいて、ときどき検索をかけてみるだけにとどめているのです。

FemoのURLをブックマーク

このような「リファレンス」の「ブックマーク」が今は4つあります。我ながら目移りの激しさにあきれますが、移行する必要もなく新しいサービスを試す踏ん切りもついたため、これはこれで現実的な対処法と、割り切れるようになりました。

まとめ

このようなやり方を実行に移すには、何はともあれ昔使っていたサービスに、「検索機能」がなくてはなりません。リファレンスとして利用するといっても、検索機能がなければ、どうしようもないかららです。

ですから、新しいサービスを試すにあたっては、検索機能があるかどうか、きちんと機能しているかどうかをチェックしておく必要がありますが、オンライン・サービスのいいところは、新しい機能が付加されるなど、バージョンがどんどんアップしていくことでしょう。

私のような使い方をしているものにとっては、ほとんど使わなくなってしまったサービスであっても、バージョンが更新されることはとてもいいことです。バージョンアップによって、より使いやすいリファレンスサイトとなっていくこともありますし、一度は見切りを付けたサービスに、舞い戻ることもあるからです。もちろんその時には、直前に使っていたサービスを、「リファレンス」にすることになるわけですが。 これは紙の手帳を年末が来るたびに変えたり戻したりする人には、馴染みの感覚かもしれません。しかし、紙に比べてデジタルは、検索機能などがあるだけに、気軽に乗り換えられるという大きなメリットがあるのです。