エンジニアとは一体どうやって働いているのか、エンジニアの周りの人はどう接したらいいのか、GMOペパボが運営するネットショップ運営サービス「カラーミーショップ」のカートを新しくする「新カゴプロジェクト」の3人に話を伺ってきた。

向かって左から、エンジニアのねっしーさん、プロダクトオーナーのりんさん、デザイナーの鹿さん

ここまで聞いた同社のプロジェクトチームは、課題にそってエンジニアチームが作業の見積りを出し、それに対してプロダクトオーナーやマネージャーが判断、デザイナーと共有しながら進めていくという流れ。その中に、毎朝の定例ミーティング、日々のやりとりが重なっていくというものだった。

作業の可視化は重要

――他にチームの仕事のまわしかたとして、取り入れていることはありますか?

りん:Pivotal Trackerという、外部のサービスを使っています。やるべきことが全部一列に並べられていて、優先順位が可視化されるんです。みんな上から作業を開始して、作業が完了すると、エンジニアの方が私に「これでOKですか」と確認をしてくれるので、問題がなければアクセプトのボタンを押してリリース承認。依頼された作業の内容を確認する会議(レビュー)もあわせて運用しています。

ねっしー:次にやらなければいけないものはこれで、今やっているものはこれ。というのが確認できて、さらに作業完了時にプロダクトオーナーが承認する。という進め方ができるんです。

りん:私はもともとデザイナーなので、エンジニアのことはわからなくて、確認の仕方に困っていました。ツールを導入することで、みんながどのような作業をやってるのか、細かくわかるようになりました。

――導入してどう変わりましたか?

りん:レビュー自体は行っていたのですが、完了条件を何にするのかが定まってなかったため、ツールを導入することでプロダクトオーナーが承認ボタンを押して作業完了というフローができました。

ねっしー:あとは、ホワイトボードに付箋が溢れて……(笑)。

鹿:そうなんですよね、どこかに付箋がいっちゃったりとか(笑)。

りん:すべてを付箋にするのではなく、ツールとあわせてまわせるようになりました(笑)。

ねっしー:あとは割り込み作業で、「とりあえずなるはやでやっといて」とか言われるんですけど、「なるはやっていつのことなんだよ……!」ということがあって、今この順番でやっているんですけど、割り込み作業はどこに入れましょうか。という話ができるようになりました。

「ふわっとしたことを言わない」

――プロダクトオーナーのりんさんは、エンジニアの方とコミュニケーションを取る際に気をつけていることはありますか?

りん:「なんとなくこっちの方が良さそう」という依頼はしないようにしています。ちゃんと数字やデータに基づいた施策だよという根拠を示すなど、お願いの仕方は考えていますね。なんとなくで作業をお願いして、思った結果と違い効果が出なかったら、皆がっかりしちゃうし、モチベーションも下がってしまいます。利用者が100人いて100人がいいと思うものは作れないかもしれませんが、できるだけ多くの方に良かったと思われるよう、データをもとに施策を考えています。目的がふわっとしたお願いにならないように。

――エンジニア的に、ふわっとしたお願いをされると、どう感じますか?

ねっしー:根拠がないとか、何をやりたいのかよくわからなかったりするのは嫌ですね(笑)。

りん:最初は、「なんでこのボタンが必要なの?」とか、よく聞かれました(笑)。もちろん「いる」と思っていても、そう聞かれると、根拠について深く考えるきっかけにもなりますね。いると言っておいて、あとからやっぱりいらない、となったら作業する人は困ってしまいますし。今まで感覚的に生きてきたので、なかなか大変です(笑)。

――デザイナーとしてはいかがでしょうか?

鹿:こんな風に最初からプロトタイプをつくったことがなかったんです。今回はたたき台を用意して、それに対してエンジニアの方が見積りを作ってくれたので、皆で考えて作っていくやり方ができました。

ねっしー:うちのプロジェクトだと、鹿くんがモックをいい感じに作ってくれるんですよ。動画をつくってくれて、朝会で突然LT(ライトニングトーク)がはじまったりするんです。

りん:皆で話したものを「こういうことですよね」と目に見える形にしてくれるので、テンションあがりますね。

ねっしー:あれはありがたいですね。

鹿:本当はもっとそこで「違うよ」と言ってもらうことも必要だと思っています(笑)。形にするとわかりやすいし、目に見えるものは強いですよね。でも自分ひとりで考えると絶対漏れがあるので……。

――モックを作れるのは何か、時間的な余裕や集中できる環境などの要因があるのでしょうか?

鹿:時間を与えてもらっていると思います。今後はラフでもいいので、プロトライプのさらにプロトタイプのものでも見せていきたいです。

※次回はエンジニアのテンションがあがるときについて。10月28日(水)更新予定