高機能だが使いこなせない地図作成ツール「Google Maps Engine」

米Googleが提供する地図サービスといえば「Google Maps」がお馴染みだが、同社では企業向けに独自の地図を作成・公開できるサービス「Google Maps Engine」も提供している。

これはGoogle Mapsをベースとした非常に多機能な地図作成ツールで、Google Mapsに独自のデータを追記したり、Webサイトや各種アプリケーションに地図を埋め込んだり、さらには地理関連の高度な計算処理まで行うこともできる。

しかし実際のところ、高機能ゆえに「上手く使いこなせない」「ここまでの機能は求めていないからもう少し手軽に利用できるものはないか」という意見も多い。確かに、Google Maps Engineは地理情報システムの専門家やデベロッパーなどのニーズを満たすだけの機能を備える反面、一般の企業には敷居が高く使いづらい。

そこで登場したのが、Google Maps Engineの簡易版ともいえる「Google Maps Engine Lite」と「Google Maps Engine Pro」だ。

一般企業での利用に適した「Google Maps Engine Pro」

Google Maps Engine Liteは、2013年3月27日にβ版が公開されたサービスで、基本的な機能のみに絞られている。無料で使えるのだが、残念ながら商用利用に対応していないため、個人レベルで地図を作成・共有する際に重宝する。

一方のGoogle Maps Engine Proは、2013年10月21日にリリースされた有料サービス。利用料金は、12カ月契約の「年間プラン」が1ライセンスあたり年間50ドル、ユーザー数の増減があっても柔軟に対応できる「フレキシブルプラン」が1ライセンスあたり月額5ドルとなっている。

Google Maps Engineと比べれば使える機能は少ないが、それでも一般企業で使うレベルとしては十分だろう。むしろ、専門的な部分が削られた分だけシンプルになり、Google Maps Engineより使いやすいともいえる。30日間の試用期間が用意されているのもありがたい。

このようにGoogle Maps Engine Proは、一般企業が地図の作成・公開をする上でベストな選択肢だ。それぞれの機能比較については、表にまとめておいたので参考にしていただきたい。

「Google Maps Engine」の機能比較

利便性の高い機能で地図作成を強力にサポート

それでは、Google Maps Engine Proを使うと実際にどのようなことができるのだろうか。

ルート描画やピンアイコンの変更などは当然のこと、一番の特徴はレイヤーを用いて地図上にデータを追加できる点が挙げられる。支店・営業所・工場など複数の拠点がある場合、各拠点の情報をそのまま地図上に表示することが可能だ。一覧からの入力はもちろん、地図上からでも編集操作が行える。また、拠点の数が多い場合には、CSV形式のファイルやGoogleドキュメントのスプレッドシートから一括でインポートする方法も利用できる。その際、住所を自動的に緯度経度情報へと変換してくれる「ジオコーディング機能」も備えている。

各種データについて、レイヤーごとに表示・非表示を切り替えられるのもメリットだ。単純にデータを追加しただけでは、情報量が多くなるとどうしても見づらくなってしまうが、目的に応じてレイヤーを使い分けることで欲しい情報をすぐに表示できる。Google Maps Engine Proなら地図ごとに10個のレイヤーを作成し、さらに各レイヤーに2000個の対象物を配置可能なため、さまざまな用途に使えるだろう。

さらに、自動車/自転車/徒歩によるルート表示と道程距離の表示、範囲オブジェクトの作成と面積計測といった機能に加えて、さまざまな地図タイプが用意されているのもGoogle Maps Engine Proが持つ特徴のひとつだ。Google Mapsでお馴染みとなっている通常の地図や航空写真はもちろん、地形/行政地図/モノクロ都市/シンプルな地図/大陸地図/大陸地図(濃) /水域白表示などから用途に応じて選択できる。

このほかGoogle Maps Engine Proには、用途や目的に応じて複数の地図が作成できる、作成した地図をソースコードのコピー&ペーストで簡単にWebサイトへ埋め込める、KML(Keyhole Markup Language)へのエクスポートができる、といった特徴もある。

ここまではGoogle Maps Engine Proの基本機能について見てきたが、次回は具体的な応用例などを紹介する。