「カレー沢薫さんの自画像を3Dペンで描いてください」
GWの直前、私のところへこんな依頼がメールで送られてきました。その結果、できたのが上の写真のモノです。いったいこれは何?、どういう経緯でこんなことに……と思われるのはもっともと思うのですが、まずは事のきっかけについて、お話させてください。
カレー沢薫さんを「立体化」
カレー沢薫さんのコラムはよく読んでいますが、自画像を3Dペンで描くというのは率直に言って、最初は訳がわかりませんでした。
そこで担当編集に問い合わせたところ、「ものづくり系企画を何かやろう」というテーマの企画会議の末、この内容に落ち着いたのだといいます。今でこそフリーでデザイン業をやっていますが、私も以前は企業勤めをしていた身。メールの文面の向こうから、あの頃を思わせる"煮詰めすぎた企画の香り"が漂ってくるのを感じます……。
そして、普段はデザインのお仕事をしているので、3Dペンというものを使うのはこれが初めて。なので、最初に3Dペンそのものについて、担当に聞いたり、Webで調べたりしてみました。
そもそもの話、3Dペンとは
カレー沢薫さんはマイナビニュースを代表する筆者でご存じの方も多いと思うため説明は割愛しますが、3Dペンというのは、少し前に革命的な機械だと話題になっていた「3Dプリンタ」をペン型にしたもの……と言うと、イメージがつかみやすいかもしれません。
より具体的に言えば、ペン先から樹脂(多くはABSやPLA)を熱したものを押し出すことで、絵を描くように立体をかたちづくることができる機械です。3Dプリンタを使うには出力用の3Dデータを作る必要がありますが、3Dペンではその必要はなく、フリーハンドでかたちを作っていけます。
とりあえず、立体お絵かきに挑戦
上記のような仕組みによって、「空中に絵が描ける」という3Dペン。依頼内容に取りかかる前に、まずは立体的なお絵かきに挑戦してみました。だって、せっかく新しい機械を使うなら、普通のペンのように使うより、空中に絵を描くほうが楽しそうだったからです。
3Dペン各社のサイトを見る限り、空中お絵かきは簡単にできそうに見えました。とはいえ初めて使うものだから、まずはシンプルな家を描いてみよう。そう思い立って取り組むこと小一時間。
目の前にゴミの山ができあがっていました……。どうしてこうなった。
立体で絵を描くにあたって気がついたのですが、熱した樹脂が固まるまで空中にペン先をキープしておくのが難しく、思ったようなかたちが描けませんでした。空中に描くより、平面の上にパーツを描いて、あとからつなぎ合わせていく方が簡単にできそうです。
単に私が下手なんだと思うのですが、販売ページに添えられている「立体お絵かき」の見本はかなりの手練れによるものだと思います。大道芸人の方が簡単そうにバルーンアートを作っているのをマネした(そして手元の風船は爆発)ような徒労感がおそってきます……。今回の依頼が「シマダさん器用そうだから」(原文ママ)というアバウトな理由で持ちかけられたものだけに、少々バツが悪いです。
立体お絵かきにくじけたので、今回の趣旨であるカレー沢さんの自画像をちょっと試しに描いてみました。すると、まだまだ似せる余地はあると思いますが、空中に描くのよりは、かなりスムーズに作ることができてびっくり。確かに線の多い(?)自画像ですが、わりと見たままに描けます。
少し遠回りしてしまいましたが、次回は依頼内容の「カレー沢薫さんを3Dペンで描く」に正面から取り組んでいきます。