大きく変化する200mmの生産品目

200mmファブで製造される商品カテゴリの割合を図5に示す。図の左側は2006年の実績値、右は2018年の予測である。200mmファブ数がピークを打った2006年の月間生産枚数は540万枚であり、2018年には532万枚(予測)と、2006年とほぼ同じ水準に戻ると予測されているが、生産品のカテゴリは大きく変わっている。

2006年ではメモリが33%と最多生産品目であったが、その後、メモリは微細化と量産によるコストダウンのため、300mmへ移行したため、2018年にはわずか2%に減る。ロジックやMPUも微細化競争で、先端企業では200mmから300mmに移行した。これに対して、ディスクリート/パワーデバイス、MEMS、アナログICの一部が150mmから200mmに移行していくため、これらの製品カテゴリが2018年ではやや増えているとSEMIは予測している。中でも、日本勢が得意なパワーデバイスを中心にディスクリートは3%から15%へと増加する点は注目される。

ファウンドリのシェアは29%から46%へと大幅に増加すると予測されるが、これは90nmプロセス以前の古い技術で製造できるPMIC(電源管理IC)やディスプレイ・ドライバIC、CMOSイメージセンサ、MCU、MEMSなどの需要が増してきているためである。今後、200mmファブで生産増加が期待される製品カテゴリは、全体的には主にパワー、アナログ、MEMS、およびこれらの製品を受託生産するファウンドリだが、それぞれの国における製品カテゴリは国情を反映してやや異なっている(表1参照)。日本では、ディスクリート/パワーデバイスやアナログ・ミクスドシグナルICが増えるが、ロジック、アナログ、ファウンドリは衰退方向である。一方。台湾や中国では200mmはファウンドが主体である。300mmメモリ大国の韓国では200mm装置は中古市場へ放出する一方で200mmファブの計画はない。

図5 2006年(左、実績)および2018年(右、予測)の200mmファブにおける製品カテゴリの割合 (出所:SEMI)

国・地域名 200mmファブで生産増加が期待される製品カテゴリ
(生産縮小する製品カテゴリ)
MEMS/ファウンドリ/アナログIC
中国 ファウンドリ/アナログIC
東南アジア ディスクリート/パワー
(閉鎖または減少:ファウンドリ)
日本 ディスクリート/パワー、アナログ/ミクスドシグナルIC
(閉鎖または減少:ロジックIC、ファウンドリ、アナログIC)
欧州 パワー/MEMS/アナログIC
台湾 ファウンドリ
韓国 (200mmの計画は皆無)
表1 国・地域別の200mmファブで生産増加が期待される製品カテゴリ (SEMI資料に基づき著者作成)

200mm向け設備投資の動向は?

200mmファブへの設備投資額の変遷を図6の赤棒に示す。青棒は200mm未満(主に150mm)ファブへの設備投資額を示す。200mmファブへの設備投資額の対前年比増減率は、赤い折れ線グラフで示したように、2014年をピークに減少傾向にあり、今後毎年減少していき、2018年の総額22億5000万ドルと予測される。

図6 200mmファブへの設備投資額(赤棒、単位は100万ドル)、150mm以下ファブへの設備投資額(青棒、単位は100万ドル)、および200mmファブへの設備投資額の前年比増減(%)。2015年までは実績、2016年以降は予測 (出所:SEMI)

製品カテゴリ別の200mmファブへの設備投資額の変遷を図7に示す。今までファウンドリ(おもに台湾、今後は中国)への設備投資が最も旺盛で、ディスクリート/パワーデバイス、アナログがそれに次いで多い。MEMSは老朽化したファブや装置を転用するケースが多く、このため設備投資は多くない。300mm移行が鮮明なメモリは200mm向け設備投資はない。

2017年からファウンドリの設備投資が減少に転じるのは、すでに複数の有力ファウンドリが2017年から200mmファブへの設備投資をしないことを決めているからであるとSEMIは説明している。

図7 製品タイプ別の200mmファブ設備投資額の推移(単位は100万ドル)。新品・中古・自家製装置をすべて含む。製品カテゴリは(2018年の上から順に)ファウンドリ、ディスクリート(パワーデバイス、光デバイス、LEDを含む)、アナログ、ロジック(ロジックと一体化した光デバイスを含む)+MPU、MEMSおよびその他、メモリ。なお、この統計で、CMOSイメージセンサは、ロジックに含み、III-V族光デバイスはディスクリートに含み、パワーデバイスはディスクリートに含む (出所:SEMI)

IoT向けや車載半導体は200mmが主体

200mmファブが目を覚まし、その稼働率が向上する背景には、IoT時代の到来があると言われている。今後、スマートフォンや自動運転車(実際は運転支援)やIoTが産業成長の中心になることが期待されているが、これらに使われる半導体デバイスの多くは、必ずしも最先端プロセスを必要とせず、少量多品種に対応しやすい200mmが向いている。もちろん、スマートフォンの心臓部のアプリケーションプロセッサや超高速演算が要求されるクラウドコンピューティング用CPUなどは例外であるが、多品種のIoTエッジ(ワイヤレス・センサ・ネットワーク端末)向け半導体や実績のある枯れた技術を用いて高信頼性が要求される車載半導体には200mmの需要が増している。

ドイツを代表するBMWの先進電気自動車「i3」(図8)には545個の半導体チップが搭載されている。このうち、CMOSが42%(229チップ)、パワー半導体が29%、アナログが22%、メモリとMEMSセンサが各4%、そしてイメージセンサが0.4%(2チップ)を占める。

これら545個のチップのうち、484個(全体の89%)は200mmウェハを用いて製造されており、残りは300mmである。チップ面積総計は、4537mm2で、このうち70%にあたる3189m2が200mmウェハを用いて製造された。特に、電源管理用IC(バッテリ/インバータ)の97%、運転支援用IC(ADAS)の94%が200mmウェハで製造されているという。

図8 ドイツBMWの革新的電気自動車i3 (出所 BMWのカタログ)