ハイブランドは、多くの人に愛される名品を持っています。それぞれのブランドのこだわりや技術、センスが詰まった奥深い世界には魅力がたっぷりです。本連載では、『教養としてのハイブランド』(彩図社)で話題のとあるショップのてんちょう氏が、毎月選りすぐりのアイテムを語っていきます。
第五回の名品語り、今回紹介するのはアコースティックラインのメガネです。
「ん、どこのメガネ?」と思った方も多いのではないでしょうか。
実はこのメガネ、日本有数のメガネ産地として知られる“鯖江”で生まれたものなんです。
まずは鯖江について簡単に説明しましょう。
鯖江とは、福井県嶺北地方のだいたい中央辺りに位置する「鯖江市」のこと。ここは世界的にも有名なメガネの産地として知られています。洋服がお好きな方だったらきっと聞いた事ある人も多いはず。
中でも特に知られているのが「チタン」という金属でできたメガネフレームです。
鯖江は昭和56年(1981年)世界で初めて、軽量かつ堅牢、さらに金属アレルギーを起こしにくいチタン素材を用いたメガネフレームの開発に成功しました。
現在でも、鯖江は世界最高水準のメガネフレームを生産し世界中に届ける、まさに“メガネの聖地”ともいえる場所なのです。
今回ご紹介する「アコースティックライン」というブランドは、そんなメガネの名産地、鯖江で生まれたブランド。
鯖江にあるファクトリーが手がけるブランドな訳ですが、一つ変わった特徴があります。
というのも一般的に鯖江でのメガネづくりは、各工程をそれぞれの専門工場が分担する“分業制”が主流なのですが、アコースティックラインを手掛けるファクトリーは全ての工程を一社で完結させています。OEMも受けてるみたいですね。
フレームは、正面から見るとベーシックなゴールドのメガネなのですが、上から見るとべっ甲柄が入る、ちょっとユニークなデザインになっています。
購入したのがだいぶ前なので少し記憶が曖昧なのですが、この仕様は技術的にも結構難しい加工だそうです。
フレームの素材は、もちろんチタン製。先述の通り、軽量で強度が高く、さらに金属アレルギーも起こしにくい素材です。
メガネって、フレームによっては「なんか重いな」と感じることってありませんか? 僕はよくあります。長時間かけていると、耳や鼻のあたりが痛くなったり、赤くなったり…。 チタン製のメガネは、金属らしい硬派なルックス保ちながらもそういったトラブルが少ないのがすごく良いんですよね。つけていて楽です。
僕は昔から視力があまり良くないこともあって、これまでにいろいろなメガネをかけてきました。それこそ今回ご紹介したメガネと比べてもっと高価なものや、もっと個性的なデザインのものもあります。
でも、なんだかんだで今でも一番よく使っているメガネはどれかと聞かれたら、結局これなんです。金額と使用頻度というのは比例しないんですね、改めて。
有名なブランドじゃなくても、自分にとってはオンリーワンな一品。そんな“あなたにとっての名作”、皆さんにもあったりしませんか?