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2 エグゼクティブコーチングの現場

仕事はデキるがパワハラ気質、上級管理職の悪癖を変えた「ある行動」とは

Updated MAY. 08, 2025 16:00
Text : 橋場剛
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この連載では、日本で初めてコーチングで上場したビジネスコーチの橋場剛 取締役副社長が、経営者・経営幹部に対するエグゼクティブコーチングについて語ります。第2回のテーマは「コーチングを受けて成果を出す人がやっている、ある『共通』した行動」

コーチングを受けて成果を出す人がやっている、ある「共通」した行動

第1回では、コーチングが刺さる「2つのタイプ」について触れました。

20年間、エグゼクティブ層500名以上に対して1対1でコーチングを行ってきた中でも記憶に残るクライアントがいます。彼ら・彼女たちに共通しているのは、「高い成果を出したこと」と「ある行動」を徹底して続けられたこと、です。

中でも印象に残っているクライアントA氏は、日系の有名大企業の上級管理職の方で、いわゆる「仕事がデキる」タイプ。着実に事業で成果を出してきたものの、A氏のパワハラ傾向の言動により、周囲のメンバーの士気が低下し、職場を離れる人も出てしまうような「悪癖を持った」リーダーの方でした。

その悪癖さえなければ、将来役員として経営チームを牽引することが期待される優秀な方でしたが、360度フィードバックの結果がA氏にとってきわめて芳しくない内容だったこともあり、部門の長からは外され、直属部下を持たないポジションを任されることになりました。コーチングが始まったのは、ちょうどそんな時期でした。

コーチングセッションは通常、2~3週間のインターバル(間隔)を置いて実施されるものですが、A氏が他の多くの方と違ったのは、インターバル(間隔)の期間の「時間の使い方」でした。

各回のコーチングセッションで対話して決めた内容を確実に実行することも大事ですが、A氏は「質の高い内省」を徹底して実践し続けました。スポーツのアスリートで言えば、試合がないときの過ごし方を大切にする、といったことと似ているかもしれません。

例えば、こんな感じです。

「この1週間は、周囲の理解度を確認しながらメッセージが『伝わる』ように伝えることを実行してみました。一部の人には伝わった手応えがありましたが、一部の人の理解が十分に深まらず、課題が残りました。事前準備が〇〇の点において不足していたかもしれません。次は準備の仕方を△△のような形に変えて工夫して臨みます」
(=クライアントからコーチ宛に送られてきた1週間の振り返りのメッセージからの抜粋)

「ビジョン等のメッセージを伝えたものの、メンバーにうまく伝わらない」というのはエグゼクティブへのコーチングにおける「あるある事例」の1つですが、多くの場合、伝わらないことを他責にしてしまったり、「そりゃ、伝わらない人も中にはいるよね、仕方ないよ」の一言で安易に片づけてしまったりしがちです。

コーチングを受けた多くの人が、セッション終了後に「勉強になりました!」「気づきました!」と前向きな言葉を返してくれることがありますが、残念ながらポーズだけで実行に移さない人がいます。そんな調子では、どんなに学びや気づきを得たとしても決して成果につながることはありません。

成果につなげる人は、「表面的に振り返る」「口先だけ」といった素振りではなく、「内なる自分に深く潜る」意識で内省するため、コーチングをする側もその熱量に影響され、結果的にコーチとクライアントとの間に良い意味での真剣勝負を生み出します。

結局A氏はコーチング期間中、全32週にわたって、一度もサボることなく「今週取り組んだこと」「うまくいったこと」「うまくいかなかったこと」「次の取り組みたいこと」を長文にわたって毎週末に書き続け、コーチ宛に送り続けてくれました。

コーチングをする側のこちらも、通常以上に応援したい気持ちが強くなり、A氏の背中を押すための激励メッセージや問いかけを、毎回熟慮を重ねて真剣に考えて返し続けました。

  • 今回のテーマは「お金持ちに共通するマインドセット」です。

    パワハラ気質の優秀社員はその後……?

8カ月間のコーチングが終了してから半年後、A氏の真摯な取り組みとポジティブな行動変容の成果は、直属上長のみならず社長にも伝わり、コーチング終了から半年後の年の瀬に思いがけずA氏から「御礼」というタイトルのメールが私宛に届きました。

ドキドキしながらメールを開封すると「内示があり、来年度からまた部門長を任されることになった」という実に嬉しい報告でした。

この話には後日談があります。

A氏は、コーチング期間中に取り組まれていた自身の「悪癖」を改善するために、改善すべき悪癖をリストアップして、日々改善に取り組んでいたのですが、コーチングが終了してから半年以上が経過し、再び部門長に就任されたあとも「リバウンド」しないように行動目標を関係者と共有し、悪癖が再発しないよう自身を戒めているとのこと。

周囲もその姿勢に共感し、今なお継続してメンバーと良い雰囲気で仕事を進めることができているとのメールが届きました。絵に描いたようなサクセスストーリーのように聞こえるかもしれませんが、実話です。

次回は、「破壊的な質問」とは何か、についてお伝えしたいと思います。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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