NEDOと日本気象協会は10月18日、同24日~26日の3日間、ドローン向け気象情報提供のデータ連携の実証試験と、ドローンによる気象観測の実証試験を福島県南相馬市の福島浜通りロボット実証区域で実施すると発表した。今後、実証試験で得られた知見をベースに、ドローン向け総合気象情報提供機能の開発を進め、ドローンの利活用拡大と安全で効率的なドローン運航の実現を目指す。

NEDOは「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」において、物流やインフラ点検、災害対応などの分野で活用できる無人航空機およびロボットの開発を促進するとともに、社会実装するためのシステム構築および飛行試験などを実施している。

一方、日本気象協会は同プロジェクトにおいて、ドローン運航管理システム向けの総合気象情報提供機能の研究開発に取り組んでいる。ドローンの活用を物流、インフラ点検、災害対応などの分野で進めるためには、ドローンの安全飛行を妨げる突風や豪雨、雷、霧などの気象現象を詳細かつ正確に把握し、予測することが重要であることから、同協会ではドローン向け気象情報を「把握」「予測」「提供」する技術の開発を進めている。

今回の福島県南相馬市での実証試験では「ドローン向け総合気象情報提供機能の開発に向けた実証試験」「ドローンによる気象観測の実証試験」を行う。

実証試験の概要

ドローン向け総合気象情報提供機能の開発に向けた実証試験では、ドローン離発着場での地上気象観測とドップラーライダーによる上空の風観測を行い、その観測データと実証エリア付近の気象予測をドローン運航者とドローン航空管制事業者へ試験提供する。

具体的には、ドローン離発着場に気象センサーとドップラーライダーを設置し、気象センサーにより地上気象の観測を行うほか、ドップラーライダーにより高度50~150mの風を測定。また、雨、風などの予測データをドローン運航管理システムに試験配信を行うほか、天気予報、台風、地震、津波、雨、風、雷、竜巻などの気象情報を閲覧可能なPCを設置し、気象情報のニーズや課題を確認する。

ドローンによる気象観測の実証試験では、気象センサーを搭載したドローンを飛行させ、高度50m、100m、140mの気象観測を行う。この結果は、ドップラーライダーの観測との比較により精度検証を行い、今後の開発に役立てていく。なお、実証試験は試験期間中の気象状況により、試験を中止する場合があるという。