QualcommとThunderSoftは8月24日、QualcommのSoC「Snapdragon」のIoT市場への展開を説明する会見を開いた。

説明を行なったサンダーソフトジャパンの代表取締役社長を務める今井正徳氏

ThunderSoftは、スマートデバイス向けプラットフォーム製品・組み込みソフトウェアソリューションや提供する企業。同社は、2009年よりQualcommとスマートフォン(スマホ)分野で協業しており、2016年2月には、IoTの製品化を加速するためにQualcommとの合弁会社であるThundercommを設立した。

近年、IoT製品は増加し続けており、そこから得られるデータ量は爆発的に増えている。例えば、航空機は飛行中、毎秒5GBのデータを生成しており、監視カメラなどは毎日数百億の顔認識データを収集している。しかし、それらのデータをすべてクラウドコンピューティングで処理するのは今後のデータ爆発の時代においては難しくなってくる。そこで、それらのデータをエッジデバイスで処理する「エッジコンピューティング」のニーズが高まっている。

エッジコンピューティングへの流れは進んでいる(AWSのGreengrassの技術を使ったIoTソリューション開発の例)

2020年以降、データ処理のトレンドはクラウドでの処理からエッジコンピューティングでの処理に移る

そうした状況を受け、Thundercommでは、SnapdragonをIoTに用いることで、ドローン・VR/AR・ロボティクス・ウエアラブル・インテリジェントカメラなどのIoTデバイスをターゲットとしたプラットフォームを開発・提供している。現在、200名以上の技術者を有しており、すでに10以上の製品を量産しているという。

家電メーカーなどのIoTデバイス開発を必要とする事業者にとって、これまで取り組んだことがない技術を組み合わせ、製品を作るのは困難だ。そこで、同社はSnapdragonシリーズを活用し、モジュール開発から量産までワンストップでサポートすることによって、顧客がすぐに製品を利用できる「TurboX SoM(System on Module)」ソリューションを提供する。

「TurboX SoM」ラインアップ

製品の量産までをワンストップでサポート

また、クラウドへ接続することなく、学習済みAIアルゴリズムをデバイス上で効率よく実行する「Qualcomm Snapdragon Nueral Processing Engine (NPE)」によって、Caffe/Caffe2、TensorFlowで学習されたネットワークモデルを実行する。実際に、ThunderSoftが画像認識アルゴリズムをSnapdragon NPE上に実装したところ、3倍以上の性能向上を実現したという。

クアルコムCDMAテクノロジーズの副社長である須永順子氏は「今後、ThunderSoftとの協業によりIoTの製品化を加速させていく」と意気込んだ。

なお、会場ではTurboXの具体的な量産事例として、「Snapdragon 801」を用いた「HOVER CAMERA」と「Snapdragon 410」を用いた「T View sense」がデモ機展示されていた。

ドローンソリューションを利用した「HOVER CAMERA」。顔認識と人体認識テクノロジーにより、自律的に被写体を追跡できる。使用されるモジュールは、シングルチップで飛行コントロール、ビデオ処理とデータ通信機能を搭載している

ホームセキュリティカメラソリューション「T View sense」。ドアロックセンサや、一酸化炭素センサ、温度・湿度センサ、煙センサなど、カメラでは認識できない範囲の動きを検出し、モバイルデバイスへの通知、統計レポートを行う