北海道大学は、モンゴル・ゴビ砂漠のトゥグルギンシレに分布するジャドクタ層から発見した化石が新種のオルニトミムス類恐竜であることを明らかにし、「エピオルニトミムス・トゥグルギネンシス(Aepyornithomimus tugrikinensis)」と命名したと発表した。

同成果は、北海道大学大学院理学院、モンゴル古生物・地質研究機関のTsogtbaatar Chinzorig氏、北海道大学総合博物館の小林快次氏、モンゴル古生物・地質研究機関のKhishigjav Tsogtbaatar氏、カナダ・アルバート大学のフィリップ・カリー氏、早稲田大学国際教養学部の渡部真人氏、モンゴル古生物・地質研究機関のRinchen Barsbold氏らによるもの。詳細は、「Scientific Reports」(オンライン版)に公開された。

エピオルニトミムスの復元画 (出所:北海道大学Webサイト/(c)服部雅人)

今回見つかった化石は、これまでに同地層から見つかっていた2例と比べても保存状態がよく、完全な左足と部分的なかかとの骨が残っていた。これらとオルニトミムス類を含む獣脚類恐竜99種と568個の骨学的特徴に基づいて比較・解析を行った結果、今回発見された化石は複数の固有の特徴を持つ新種の恐竜であることが明らかとなった。

足の骨(左)とかかとの骨 (出所:北海道大学Webサイト)

エピオルニトミムスに固有の骨学的特徴。(1)遠位足根骨IIIの前面に不均一に発達したくぼみが存在する。(2)第二中足骨の指との関節部位が発達している (3)指骨IV-1の付け根が曲線状となっている (4)長い第四指 (5)第IV-1指骨の内側面の強い傾斜 (6)長く伸長した足の末節骨 (出所:北海道大学Webサイト)

また、系統解析の結果から、エピオルニトミムスはオルニトミムス類の中でもオルニトミムス科に属することが判明したほか、得られた系統樹により、原始的なオルニトミムス類は連続的に進化を遂げた一方、派生的なオルニトミムス類は3つの大きな分類群に分かれたことが判明した。

これにより、アジアのオルニトミムス類の進化史のギャップが埋まり、オルニトミムス類の初期進化過程が明らかとなったと研究グループは説明しているほか、オルニトミムス類が乾燥した環境のような、これまで知られていなかった環境に適応し、生息していたことが示されたとする。

なお、同研究グループは「今回発見された化石は足の部分のみだったため、詳細な系統位置の特定は困難。今後の発掘で追加標本を発見することにより、系統関係や生態に関する詳細が解明されることが期待される」とコメントしている。