ラピスセミコンダクタは、IoT無線通信の新分野として期待される低電力広域通信 (LPWA:Low Power Wide Area)対応のデュアルモード無線通信LSI「ML7404」を開発したと発表した。2017年7月よりサンプル出荷を開始しており、同年12月より10万個/月の量産出荷を予定している。サンプルの参考価格は1000円(税別)。

LPWAデュアルモード対応を実現した無線通信LSI「ML7404」

近年、IoTの無線通信として免許不要のSubGHz帯域を使用するLPWAが注目されている。しかし、国や地域によって通信方式はさまざまで、IoTネットワークの多様性から主流となる方式は定まっていなかった。

同製品は、2種類の無線方式に対応する「デュアルモード」に対応した無線通信LSI。免許不要のSubGHz帯域を用いたLPWAのなかでも、世界30か国以上で採用が進み国内でも首都圏を中心に展開され始めた「SIGFOX」、および、同一システムの妨害波耐性が高く、より多くの端末をネットワーク傘下に収容できる特長をもつ国際標準規格「IEEE802.15.4k」に対応している。これによって、適用範囲の広いLPWAゲートウェイなど幅広い用途・仕様での活用を可能にするとしている。

世界標準の「IEEE802.15.4k」規格に準拠

SIGFOXでは、従来のSubGHz無線では採用されていないBPSK変調を使用。従来のSIGFOX対応の無線通信LSIは、BPSK変調に対応しておらず、制御マイコンのソフトウェアでBPSKのシンボルデータを作成する必要があった。この方法では、無線通信を行う度に、制御マイコンを駆動しなければならず、無駄な消費電力が生じていた。そこで、同製品ではSIGFOXに対応するにあたり、BPSK変調回路のハード化を行った。これにより制御マイコンは、無線通信動作中に無線通信の物理層に関与する必要がなくなり、通信システムとしての低消費電力化を図ることができる。

BPSK変調部 ハード化のメリット

また、評価キットにはサンプルプログラム(簡易MAC)、各種テストシナリオを添付。モジュールタイプのリファレンス設計情報の提供を準備している。さらに、同社Webページのサポートページへ登録することでマニュアルやツールがダウンロードできる。

なお同社は、同商品を搭載した通信モジュールもパートナー会社から発売予定だという。また、今回発表した製品のIEEE802.15.4k用プロトコルスタックも、オープンソースとして提供予定としている。

製品仕様