京大、iPS創薬に向けた希少難病における治験を開始

京都大学は8月1日、進行性骨化性線維異形成症(FOP)という希少難病に対し、iPS細胞を活用した創薬研究としての医師主導治験を、医学部付属病院において開始すると発表した。

これは、iPS細胞研究所(CiRA)の戸口田淳也 教授(医学部附属病院流動プロジェクトプロジェクトリーダー)を中心とするグループによって行われる。

戸口田淳也 教授

現在、人工的に作製した多能性幹細胞であるヒトiPS細胞の医療への応用として、細胞移植による再生医療と並んで、病態の解明から創薬への応用が進められている。特に、特定の患者から樹立できるという利点を生かして、遺伝性難病の患者からiPS細胞を樹立して、病気を培養皿の中で再現して治療薬を探すという試みが進められている。

FOPは、200万人に1人というまれな疾患で、国内の患者は約80名と推定されている。幼少期より、まず背部の骨格筋や腱のような本来骨が存在しない部位に骨組織が出現(異所性骨化)し、次第に四肢に広がり、著しい運動機能障害をきたす疾患となる。2006年にこの疾患の原因が骨形成因子(BMP)の受容であるACVR1のアミノ酸置換変異であることが判明したが、変異受容体がどのようにして骨化のシグナルを伝えるのかは未解決のままで、有効な治療法がない状態が続いていた。

同グループは、大日本住友製薬との共同研究によって、まずFOPの患者からiPS細胞を樹立して、培養皿の中で病気を再現し、異所性骨化発生の引き金となる物質としてアクチビンAを同定することに成功した。そしてアクチビンAがどのようにして異所性骨化を誘導するのかを解析することで、mTORというシグナル伝達因子が重要な役割を果たしていることを見出し、mTORの働きを阻害する薬剤のうち、シロリムス(別名:ラパマイシン)という、すでに他の疾患の治療薬として国内でも使用されている薬剤が、異所性骨化を抑制することを確認し報告した。

こうした状況の中、同大学は今回、FOPに対するシロリムスを用いた医師主導治験を計画した。治験薬提供者のノーベルファーマおよび医学部附属病院臨床研究総合センターの支援を受けて多施設共同医師主導治験として、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の助言の基に最終案を作成し、医学部附属病院の医薬品など臨床研究審査委員会(IRB)の承認を得て、PMDAに治験計画届を提出し受理されたと経緯を説明した。

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