岡山大学は、C型慢性肝炎治療薬のひとつであるリバビリンが脂質生合成を抑制するという機能を持つことを発見し、さらにその分子機序について解明したと発表した。脂質生合成の亢進はC型肝炎ウイルス(HCV)の複製や、C型慢性肝炎に伴う脂肪肝および肝がんの発症リスクを高めることから、リバビリンはこれらの病態発症を抑制する予防薬になることが期待されるという。

この成果は同大学 大学院医歯薬学総合研究科 腫瘍ウイルス学分野の佐藤伸哉 助教、加藤宣之 教授らの研究グループによるもの。詳細は、米国の肝臓学専門オンライン誌「Hepatology Communications」に掲載された。

リバビリンによる脂質生合成に対する抑制機構 (出所:岡山大学Webサイト)

同研究グループのこれまでの研究より、リバビリンの抗HCV活性が、リバビリンをモノリン酸化するアデノシンキナーゼ(ADK)の発現レベルによって規定されることが分かっていた。また、ADKのノックアウトマウスは生後すぐ致死性の脂肪肝を発症することも報告されていた。今回、リバビリンには抗HCV活性の他に、脂質代謝経路に対する未知の作用があると仮説を立て、研究を実施した。

まず、ADKを発現させた肝細胞株を作成し、リバビリンの機能解析を行った結果、リバビリンが脂質生合成に関与する遺伝子の発現レベルを低下させ、中性脂質の量も低下させることがわかった。次に、この現象の分子機序を解析すると、リバビリンによる細胞内グアノシン三リン酸(GTP)の枯渇、それに引き続きAMPK関連キナーゼのひとつであるMARK4による核内受容体RXRαの発現レベルの低下が起こり、最終的に脂質生合成が抑制されるという機序であることが分かった。

同研究グループは今回の成果により、リバビリンはHCV排除後の肝発がん予防、さらに、最近増加傾向にある非ウイルス性の肝がん発症に対する予防薬としても有用であると考えている。また、リバビリンはC型慢性肝炎の治療薬として有用である一方、貧血などの副作用を伴うことも分かっていた。今回、リバビリンによる脂質生合成の抑制に関わる宿主因子が明らかになったことから、そのような因子に作用する副作用の少ない肝発がん予防薬の開発などが期待されるという。