ウチヤマホールディングスは、九州工業大学、IDCフロンティアと共同で、高齢者介護施設においてIoTセンサーとビッグデータ分析を活用し、介護・看護職員の行動記録と機械学習による行動認識・業務分析の実証実験を実施したことを発表した。

介護施設での行動認識やビッグデータ分析を用いた実証実験のイメージ(出所:ニュースリリース※PDF)

少子高齢化が進行し労働力不足が懸念されている現在、介護やヘルスケアの現場でも ITを活用した職場環境の改善が重要だが、これらの現場では人の行動に依存する部分が多くを占めるのが実情となっている。今回の試みは、得られた業務種別や行動パターン、時間分布などのデータをもとに、業務シフト改善や職員の能力向上、人材育成などにつなげようというものだ。

今回の実証実験は、2017年1月~3月の期間、福岡県北九州市にある介護付き有料老人ホーム「さわやか海響館」において、職員27名(介護士22名、看護師5名)を対象に行われた。介護や看護の通常業務を妨げないよう、職員が身に付けた市販の小型センサーデバイスとAndroidスマートフォンを組み合わせて(職員携帯用:27個、館内設置用64個)、照度、温度、湿度、気圧、加速度、地磁気の各データを取得している。

また、施設各階の居室や食堂、浴室などの共用エリアにもセンサーを設置することで、単純な業務行動の推定だけではなく、フロア毎における時間単位での業務状況や職員の経験年数、業務内容と時間の相関関係などの分析が可能となっている。

職員の行動分析の例:2Fでの業務行動の積算時間(出所:ニュースリリース※PDF)

なお、実験期間においては、開始時刻推定が2行動 90%以上、4行動が60%以上、継続時間推定が9行動 80%以上、15行動 60%以上の推定精度になったという。また、介護・看護の業務行動の中では「記録業務」がいずれも上位を占め、業務開始時間が朝と夕刻に集中していることが判明したということだ。