富士通は6月15日、九州大学情報基盤研究開発センターの新たなスーパーコンピュータシステムを受注したと発表した。本システムは、PCサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY CX400」の次期モデルなど2,000台以上のサーバで構成される。システムの総理論演算性能は約10ペタフロップスを実現し、国内トップクラスの性能となる予定だという。
また、国内のスーパーコンピュータでは初めての、フロントエンドサブシステムに構築する大規模のプライベートクラウド環境と、バックエンドサブシステムの計算サーバを高速ファイルシステムを介して連携運用するシステムとなる。
同センターは、全国の大学教員、大学院学生、研究者などが学術研究のために利用する共同利用施設。現在、スーパーコンピュータシステム、高性能演算サーバシステムおよび高性能アプリケーションサーバシステムの3つのシステムを運用している。今回、これらのシステムを新スーパーコンピュータシステムとして統合し、従来の大規模計算・科学技術シミュレーションのみならず、AI、ビッグデータ、データサイエンスなどの活用・研究に必要となる超大規模計算などの、より幅広いニーズに対応できる環境を整備する。
新スーパーコンピュータシステムのサーバシステムは、主にバックエンドサブシステム、フロントエンドサブシステム、ストレージサブシステムで構成される。システムの主な構成は以下の通り。
バックエンドサブシステムの計算ノードは、「インテル Xeon プロセッサー・スケーラブル・ファミリー(開発コード名:Skylake)」を搭載した同社のPCサーバ「PRIMERGY CX400」の次期モデル2,128台で構成される。そのうち128台は、GPUコンピューティングカード「NVIDIA Tesla P100」を1台あたり4機(合計512機/GPU間を「NVIDIA NVLink」で接続)搭載している。
フロントエンドサブシステムは、「インテル Xeon プロセッサー・スケーラブル・ファミリー」およびグラフィックスカード「NVIDIA Quadro P4000」を搭載した基本フロントエンドノードを160台と、1台あたり12テラバイトのメモリを有する大容量フロントエンドノード4台などで構成される。
また、使用電力を監視するシステムを導入するほか、HPCミドルウェア「FUJITSU Software Technical Computing Suite」により、システム利用者ごとに最大消費電力を制限する機能などを実現し、省電力を意識した柔軟な電力制御を行うという。