拡大する車載分野のパワートランジスタ市場 - TrendForce

市場動向調査企業の台湾TrendForceは6月7日、自動車の電源管理のために用いられているアナログICならびにパワートランジスタの2017年における1台あたりの平均価格は、前年比11%増の209ドルとなり、車載分野(シェア23.1%)が産業分野(シェア36.1%)に次ぐ大きな市場へと成長するとの見通しを発表した。

図 2017年のパワートランジスタ市場の用途別内訳予測 (出所:TrendForce)

同社の調査によると、各国政府は温室効果ガスの排出削減政策の1つとして、自動車産業に対するICTを活用したソリューションの採用を推進している。TrendForceの調査マネージャーであるJian-Hong Lin氏は、「各国は、自動車より発生する温室効果ガスや大気汚染物質に対して、より厳しい基準を採用している。こうした規制を遵守するために、自動車メーカー各社は、自動車設計におけるエネルギー効率を最優先課題としている」と述べており、車載半導体は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)などのいわゆるxEVを開発する企業にとって重要な存在になりつつある指摘している。

例えばPHEVには、電力を供給するための充電/給電システムや、DC/ACコンバータ、DC/DCコンバータなどの電力変換システム、車内の各コンポーネントに向けて電流(ACもしくはDC)を分配する電源システムなどが搭載されている。「xEVが市場にリリースされる前に満たさなければならない規制基準には、AC/DCの変換効率や電力管理の安全性などがあり、xEVに使用する半導体部品の仕様と性能は重要視されている」という。

車載アナログICとパワートランジスタの需要が拡大

また同氏は、「スマートフォンには、1台につき1つのパワーマネジメントIC(PMIC)が用いられるが、より厳しい安全要件を満たす必要があるxEVでは、電圧レベルを維持し、静電気や信号干渉を中和するために、多くのサブシステムに多数のPMICが搭載される」と指摘するほか、「電気が充電ステーションから車両のバッテリに蓄える際に厳格な電源管理が求められるほか、電流の変換と電圧の低減は、車両の1次インバータ、2次インバータ、およびDC/DCコンバータで行われるため、PMICは、xEVのすべてのサブシステムで大きな役割を果たす」とし、アナログ半導体の重要性を強調する。

電力管理向け半導体としては、特定用途向けMCU、MOSFET、IGBT、ドライバIC、およびバッテリマネジメントシステム(BMS)のためのICなどが含まれるが、現在、これらの半導体製品の主要サプライヤは、独Infineon Technologies、ルネサス エレクトロニクス、STMicroelectronics、Texas Instrumentsといった世界的に認知されている半導体企業ばかりである。xEVバッテリの容量が増え、より高い電圧で電力を供給するニーズもあるため、アナログICとパワートランジスタの需要は、変換用途、回路保護のいずれの場合でも増加することが予想される。こうした需要を背景に、TrendForceでは、アプリケーション別のパワートランジスタ市場をにおいて、車載分野は2017年の23%から2020年には26%に拡大する予測している。

また、こうした需要拡大にあわせるかのように台湾の半導体業界が、車載ICやパワートランジスタ市場での役割を拡大しようとする動きがあるという。というのも、欧州、日本、米国のIDM各社が、コストを考慮して車載半導体の自社製造を中止する可能性があるためだ。TSMCやUMCなどの台湾の大手ファウンドリは、すでに車載半導体の製造経験があるため、主要なサプライヤ候補となる可能性が高い。さらに、台湾にはInfineonのIGBT製品の製造を担当するVanguard International Semiconductor(VIS)などもすでに存在している。VISへのIGBTの注文は限られた数量と見られるが、車載向けパワー半導体の多くがIGBTであるため、需要の増加により、VISに限らず、台湾のファウンドリに注文が行われる可能性があるという。

なお、成長著しい中国は現在、世界の新車販売台数の30%以上を占めており、中国政府も国内xEV業界の開発を積極的に支援している。xEV化が進めば、中国の自動車ブランドは、国際市場でより大きな地位を確立するチャンスが巡ってくる可能性がある。同様に、中国政府はパワー半導体向けのSiCおよびGaN材料の国内での研究を重視し、これらの製品を供給する半導体ファブの建設も支援している。現在、SiCおよびGaN部品を製造するためにアップグレードされた6インチのウェハファブが中国内に複数存在しているほか、アモイや泉州などの主要な中国の都市でも、パワー半導体の製造に地域で垂直統合したサプライチェーンの構築に向けて地方政府が投資を行っており、これらの産業クラスタには、ウェハ、エピウェハおよびチップの製造業者が参集しつつあるという。中国の半導体企業が、欧州、米国、日本の半導体企業が支配する車載半導体市場の競争環境を変えることができるかどうかはまだ分からないが、今後の中国の動向を注視する必要はあるだろう。

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