統合失調症ではグルタミン酸系神経伝達に異常 - 東大と千葉大

東京大学と千葉大学は5月23日、統合失調症におけるグルタミン酸系神経伝達異常の一端を解明したと発表した。

同成果は、東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻 笠井清登教授、千葉大学社会精神保健教育研究センター 橋本謙二教授らの研究グループによるもので、5月23日付けの英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

音に対する自動的注意を反映する脳波指標「ミスマッチ陰性電位(MMN)」の振幅低下は、早期および慢性の統合失調症で認められ、最も有用な生物学的指標の候補のひとつである。MMNは、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体機能を反映すると考えられており、何らかの原因によってNMDA受容体機能が低下することで、脳内の電気信号が過剰になったり、ドパミンの放出が過剰になったりすることにより、統合失調症のような精神病状態が生じるとするグルタミン酸仮説があるが、MMN振幅低下はこれに合致している。一方で、統合失調症で認められる末梢血グルタミン酸濃度の上昇も、グルタミン酸仮説に矛盾しないものである。

今回の研究では、MMNのグルタミン酸系神経伝達異常の指標としての妥当性をさらに高めるために、末梢血グルタミン酸濃度との相関を調べた。この結果、統合失調症を主とする初発精神病群においては、MMNが有意に小さく、血漿グルタミン酸濃度が有意に高いことを見出した。また、血漿グルタミン酸濃度が高いほどMMNが小さいという有意な相関があることもわかった。こうした変化はすべての精神病で認められたわけではないため、精神病群のなかでもNMDA受容体機能低下がある一群とそうでない群があることを示唆しているという。

同研究グループは今回の成果について、初発精神病の一群において、NMDA受容体機能低下などのグルタミン酸系神経伝達の変化を示唆するものであり、統合失調症を主とする精神病性障害の病態解明の一助となることが期待されると説明している。

FCz(頭頂部)電極におけるdMMN振幅とfMMN振幅(FEPは精神病群、UHRはリスク群、HCは健常群) (出所:日本医療研究開発機構Webサイト)

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