富士通、大成、スタディストの3社は10日、各自のシステムを連携させ、ビル設備の異常検知と状況に応じた作業指示マニュアルの自動配信を行えるビル設備監視システムを構築したと発表。さらに、郵船不動産協力のもと「郵船ビルディング」において同システムの実証実験を実施し、その有効性を実証した。

3社によるビル設備監視システムのイメージ

このたび発表されたビル設備監視システムは、富士通のセンサーデバイスとクラウド型のIoTデータ活用基盤サービス「FUJITSU Cloud Service K5 IoT Platform」(以下、K5 IoT Platform)、大成のビルメンテナンス業務に関するノウハウ、そしてスタディストのクラウド型マニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz(ティーチミービズ)」を連携させて実現されている。

ビルメンテナンスの現場では、設備不具合の予兆を速やかに検知するだけではなく、確実に復旧させることが重要となるが、IoTを活用した既存のビル設備監視システムの多くは、設備異常の検知とメールでの自動通知に留まっている。そのため、現状は対応者のスキルに規定されることなく迅速な復旧を実現するシステムへのニーズの高まりと、豊富なノウハウを有する熟練作業者の不足が大きな課題となっている。こうした状況を受け、富士通、大成、スタディストの3社は、それぞれの持つ技術やノウハウを連携させ、IoTを活用したビル設備監視システムを構築し、その実証実験を実施した。

実証実験では、動画や画像を活用するなど熟練度が不十分な作業者にも分かりやすい形式で、設備異常の状態に適合した点検手順や故障時の対応方法に関するマニュアルを事前に作成。また、「郵船ビルディング」内の空調設備にセンサーデバイスを設置し取得データをクラウド基盤「K5 IoT Platform」に集約した。そして大成のビルメンテナンスのノウハウに基づいて設備の故障やその予兆を検知する条件を設定し、「Teachme Biz」は集約されたデータの中でその条件に当てはまる異常値を検出した。こうしたシステムにより、ビルの空調設備の稼働状況を約6か月間の長期にわたってリアルタイム監視することが可能であると実証したとのこと。

3社は今後、ビルメンテナンス業務における効率化とサービス品質の向上をめざし、共同で同システムの製品化を進め、2018年中に大成のサービスの一部として提供開始する想定だ。

なお、本実証で構築したシステムをベースとしたビル設備監視システムのデモは、5月10日~12日に東京ビッグサイトで開催されている「Japan IT Week 春」のスタディストブース、および2017年5月18日から5月19日に、東京国際フォーラムで開催される「富士通フォーラム2017」で展示される。