台湾TrendForceの半導体メモリ市場調査部門であるDRAMeXchangeは4月13日、20nm未満の先端プロセスで製造されているPC向けDRAMの歩留まり・信頼性が低迷しているため、従来からの需給ひっ迫に拍車がかかっており、DRAMの販売価格が予想以上の高騰を続けている、との調査結果を発表した。これによると、DRAM大口ユーザーがすでに交渉を完了した2017年第2四半期向け価格契約に関する調査に基づき、DRAMeXchangeでは第2四半期の4GB DDR4 DRAMモジュールの平均契約価格が、前四半期比で約12.5%増となる27ドルとなるとしている。

DRAMeXchangeの調査ディレクターであるAvril Wu氏は、「第2四半期のメモリ購入価格を交渉してきたPC-OEMは、Samsung ElectronicsとMicron Technologyがそれぞれ18nmプロセスと17nmプロセスで生産を開始したため、微細化効果で供給数量が増加することを期待していた。しかし、両社ともサンプリングと歩留まりに関連した問題に直面したため、供給不足は第2四半期になっても続き、PC向けDRAMの価格は引き続き上昇し続けるだろう」と話している。

Samsung、Micronともに先端プロセスDRAMの立ち上げに苦戦

Samsungは、2017年第1四半期半ばから18nmプロセスを採用したPC DRAMの量産を開始したが、メモリモジュールの一部に、特定のノートブックプラットフォームとの互換性の問題があることが判明した。また、18nmプロセスの歩留まりが低いことも併せて、出荷が予定通り行えない状態にあるという。現在、Samsungは製品の品質問題の解決を図るため、出荷量を絞っているという。

一方のMicronも同第1四半期より、17nmプロセスを採用したPC DRAM製品のサンプル出荷を顧客向けに開始したが、製造歩留まりを挙げるのに予想をはるかに超える時間を要しており、量産開始は第3四半期以降にずれ込みそうだという。

残る3大サプライヤの1社、SK Hynixは、PC DRAMのプロセス移行を進めていないこともあり、DRAMに関する問題は報告されていない。「SamsungとMicronがともに窮地に陥ったことで、20nmプロセス未満のDRAMに生産移行する際には、設計と製造上の障壁がかなり高くなることが明らかになった」とWu氏は指摘しているほか、そのような微細プロセスへの移行により、かえってビット出荷量の減少をもたらしてしまっていることから、DRAMの市場への供給改善は、すっと後になると予想している。

なおWu氏は、「PC DRAM製品の価格は、第2四半期を通して上昇することが予想されるほか、サーバDRAM製品の価格も前四半期比で10~15%上昇すると予想される。一方、モバイルメモリ製品の第2四半期の価格上昇は5%以下に抑えられるだろう。このようなモバイルメモリ製品のおだやかな価格上昇は、主に中国に拠点を置くスマートフォンメーカーからの出荷が減速したためだが、一方で、eMCP製品の価格は、NAND不足を背景に第1四半期比で約5%ほど上昇することが予想される」と、PC DRAM以外の価格の推移を予測している。