みずほフィナンシャルグループ、みずほ銀行、日立製作所の3社は3月28日、日立の人工知能「Hitachi AI Technology/H」を活用した、みずほ銀行の営業部門のセールス力向上と、企画部門の業務効率化に向けた実証実験を4月3日から開始すると発表した。同実験は、みずほが中期経営計画で掲げる「オペレーショナルエクセレンス(卓越した業務遂行力)」の追求・実現に向けた施策の一環として実施する。
実証実験は、営業部門と企画部門の2部門を対象として実施。まず、営業部門では、対象の営業店4店舗および営業部(155人)を対象に、PC操作時間、メール送受信回数、出社・退社時間、顧客への訪問回数など行員の行動を表す履歴データと、若手とベテラン行員の比率、社内資格の取得数など組織の属性データ、日立の名札型ウエアラブルセンサを着用して取得した行動データ(身体運動の特徴パターン)をHitachi AI Technology/Hで分析する。
これにより、売上額や新規契約獲得数といった営業部門における主要業績指標(KPI:Key Performance Indicator)と相関性の強い要素を抽出する。この分析結果を活用し、営業部門のセールス力向上に向けた取り組みを検討する。
一方、企画部門では、業務効率を阻害する要因の発見や、業務改善策の有効性の検証などを行い、さらなる業務の効率化に向けた取り組みを検討する。具体的には、1部署30人の行員を対象に、履歴データおよび行動データをHitachi AI Technology/Hで分析することで、組織の生産性と相関の強い要素を抽出。また、あらかじめ検討した業務改善策を実践する場合としない場合のデータを比較することで、効果を検証するとしている。
なお、3社は今回の実証実験に先立ち、2016年5月から9月にかけて、企画部門の約30人の行員を対象にウエアラブルセンサを活用した予備実験を行った。その際、業務改善策として、コミュニケーション方法の見直しなどを導き出した。今回の実証実験は、対象部門を拡大するとともに、改善策の具体化を図るものだという。
みずほは今後も、Hitachi AI Technology/Hをはじめとする先端技術を活用し、既存の業務プロセスを徹底的に見直すことで、オペレーションの効率化と高度化による顧客価値創出を実現し、持続的な競争優位の確立を目指す。また、日立は人工知能をはじめとする先端的なITを活用した新たな金融サービスを提供する金融ITイノベーション事業に注力しており、今後も金融機関との協創を通じて、革新的なITサービスの開発・提供を推進していく方針だ。