フェンリルは、レビューツール「Brushup(ブラッシュアップ)」の事業を加速させるため、2月1日に新会社「Brushup」を設立する。

レビュー機能。ペンツールや矩形ツールを使い、修正内容や修正箇所を具体的に伝えられる。動画、Officeドキュメントなどのファイル形式にも対応。

制作物や案件の状況をサムネイルで表示。一覧できるため、進捗や成果物を一目で確認できる。

レビューツール「Brushup」は、イラスト、動画、Office ドキュメントなどに複数のユーザーが直接コメントを入れ、タイムライン上で管理できるレビューのためのサービス。これまでのメールを使ったレビューは「データ容量が大きくて送れない」、「添付ファイルをダウンロードしなければ中身を確認できない」、「対応したソフトがなくてファイルを開けない」、「画像のフィードバックは文章だけでは伝わりにくい」、「過去のやりとりを、膨大なメールから探さなければならない」という問題を抱えていたが、「Brushup」は、このような非効率なメールでのレビューを解決するために生まれたサービスとなる。レビューのやりとりを同サービスに集約したことで、ある企業ではメールの件数が10分の1になるという導入効果が出ているといい、同サービスは2015年3月のリリース後、2017年1月には導入企業が1000社に達したということだ。

レビューツール「Brushup」が誕生したきっかけは、2013年にグリーからイラスト進行管理業務の改善を図るためのシステム開発の依頼を受けたことだという。拡大するソーシャルゲーム業界において、ゲーム内で利用するイラストは制作ニーズが高く、ひとつのタイトルにつき数百枚のイラストが必要となっていた。一方で、その進行を効率的に管理できるようなツールがなかったため、「制作現場でのイラスト進行管理業務」に特化する形でフェンリルが開発したのがBrushupのベースとなったツールだったということだ。

リリース当初は、ゲームのイラストやウェブデザインの制作に関わる企業の利用が大半であったが、現在は、広告業界、出版業界、教育機関など、他業種でも同サービスの利用が始まっている。一例として、ある教育機関では、動画で特定の時間と場所にコメントができるという特長を活かしており、生徒のプレゼンや入試の面接練習を撮影した動画に対し先生がコメントをして、アドバイスを見た生徒が動きや喋る内容を改善していくといった使用方法も生まれたという。文部科学省では、教育のICT化を見据え、2020年にすべての学校の生徒が、1人1台タブレットを持つことを推進している。また、総務省では働き方改革として、ビジネス生産性の向上やテレワークの推進など、ICTを日本経済の成長と国際社会への貢献の切り札として活用する方針を掲げており、こうした背景の後押しを受け、新会社「Brushup」は2020年の導入企業10万社、学生100万人の利用を目指しているということだ。