エーオンジャパンは、太陽電池モジュールの第三者認証機関であるテュフ ラインランド ジャパンおよび太陽電池モジュール検査サービスなどを行うエヌ・ピー・シーと共同で、既存の太陽光発電所の評価結果に基づいて、太陽電池モジュールメーカーの出力保証を一部バックアップする保険スキームを開発し、2017年2月よりサービスの提供を開始すると発表した。

太陽電池モジュールは、IEC 61215などの国際規格に準拠した認証試験に合格することで、その品質は担保されるが、実フィールドにおいては、モジュールの一般的な出力保証(メーカー保証)である年劣化率0.7%を超える不具合が生じることが報告されているが、モジュールメーカーの出力保証を受けるためには、その原因が太陽電池モジュールにあることを事業主が立証する必要がしなければならないケースがある。また、モジュール以外の受変電設備やパワーコンディショナなどの不具合、および不十分な造成による地盤の変形、架台の強度不足などによる損害が顕在化しており、今後、発電事業者が加入している火災保険の引き受け条件が厳しくなることなどが想定されている。

同スキームは、「既存の発電所に使用されている太陽電池モジュールの現時点における性能・安全性評価と発電所全体の簡易評価サービス」、「この評価サービス結果に基づき、モジュールメーカーから保証が得られない場合の、保険によるカバー」の2段構えで太陽光発電事業の安定経営を支えるもので、現状評価は、試験所における試験と太陽光発電所における現地検査から構成され、前者はテュフが太陽電池モジュールの高精度出力測定を実施。後者はエヌ・ピー・シーが試験所にて高精度に測定された出力データを基準に用いて、発電所でストリング単位の出力測定を行うというものとなっている。

発電所での評価は、全ストリングを対象とした出力測定を行うとともに、太陽光発電所全体の簡易評価を行うことで、太陽電池モジュールのランク付けを行い、保険条件に反映させるほか、オプションで太陽電池モジュールの長期信頼性・安全性試験や、太陽電池モジュールの主要構成部材の分析評価を行うことで、経年劣化や安全性の将来予測も可能とするとのことで、これらを実施した上で、高ランクの試験結果が得られた場合、保険条件がより有利となるとする。また、現状評価後も、太陽電池モジュールの定期診断を試験所で行い、出力性能の変化を高精度に把握することで、想定以上の経年劣化が認められた場合、速やかな対応を行うことにより、太陽電池モジュールの欠陥リスクを最小限に抑えることを可能とするという。

なお、エーオンジャパンでは、リスクマネジメントの基本的な概念をベースにできあがった同プランをきっかけに、リスクマネジメントの重要性が理解されるとともに、太陽光発電マーケットへの投資が促進され、日本のエネルギー供給の安定化がより改善される事を期待しているとコメントしている。