凸版印刷は1月12日、ワインのコルク栓引き抜きや不正な穴開けを検知できるICタグ「CorkTag」を開発したと発表した。偽造ワインや不正な詰替えへの対策として、国内外の高級ワイン醸造メーカーに向け2017年1月中旬より本格的に販売を開始する。

近年、ワインや蒸留酒も偽造被害の対象となっており、模倣品や偽造品が流通し続けることで、真正品の売上減少やブランド価値の低下が懸念される。ワインの場合、一度コルク栓を抜いて中身を入れ替えるだけでなく、コルク栓を抜かずに専用針で天面に小さな穴を開けて中身を入れ替えるといった悪質な手法による被害も増えている。

同製品は、ワインのコルク栓を外側から覆うラベル形状のNFC対応ICタグ。アンテナ回路とは別に上面・側面にそれぞれ断線を検知する回路を持っているため、コルクの引き抜きをはじめ、上部に針で小さな穴を開けただけでも開栓を検知し、その履歴をICチップ内に記録する。通常、ICタグはアンテナ回路が断線すると破損して通信ができなくなりますが、検知回路が断線した後もICタグとして機能する特殊ICチップを採用した。またNFCに対応しているため、スマートフォンでも製品の開栓/未開栓の確認できる。さらに、消費者が開栓した後にも、スマートフォンでICタグを読み取らせることで産地情報の提供やキャンペーンWebサイトへの誘導が可能なため、マーケティング活用も可能だ。

なお、同製品は本格販売に先立ち、認証セキュリティ事業を手がけるベルギーのSelinko社と共同で開発したブランドプロテクションシステムとして、フランス・ブルゴーニュ地方の高級ワインメーカー「ドメーヌ・エマニュエル・ルジェ」で採用。2016年12月より順次出荷されている。

CorkTag(左)と、同製品を採用した「ドメーヌ・エマニュエル・ルジェ」(中央)、その真贋判定イメージ(右)