大阪大学が、生物の遺伝子を自在に改変できる画期的な技術として世界的に注目されている「ゲノム編集」の国際的な研究拠点となることを目指す「ゲノム編集センター」を開設した。14日に同大学内外の関係者を集めて開所式が行われた。ゲノム編集の常設研究拠点は日本初という。

写真 大阪大学大学院医学系研究科に設立された「ゲノム編集センター」の「受託解析サービス部門」の一部 (大阪大学提供)

ゲノム編集の技術は、酵素を使って狙いを定めた遺伝子部分を正確に改変できることから、遺伝子の異常で起きる病気の新治療法や農産物の品種改良などへの応用が期待されている。

大阪大学によると、ゲノム編集センターは同大学大学院医学系研究科の施設内(大阪府吹田市)に設けられた。細胞のゲノム編集や遺伝子解析などを支援する「受託解析サービス部門」と、ゲノム編集したモデル動物の作製支援と効率的な作製技術開発を行う「モデル動物開発部門」からなる。

同大学は、将来的には、ゲノム編集ツールを個々の遺伝子用に作って提供したり、ゲノム編集で作製した細胞バンクを構築する事業などを展開しながら、世界の研究機関をリードしたいとしている。

ゲノム編集については病気治療を含めた幅広い応用に期待が高まる一方、その技術は人の受精卵にも使えることから生命倫理の観点から政府の審議会や関連学会で議論が進んでいる。大阪大学では当面実験動物を用いた技術研究に重点を置きながら、いずれは安全性が確立した医療応用を目指す方針という。

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