岡山大学と国際原子力機関(IAEA)が、次世代の中性子線利用がん治療法として期待されている「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)の研究と教育などで協力する協定を締結した。BNCTの研究開発促進、医療現場への普及のほか人材育成面でも協力するという。協定調印式が26日、同大学で大学、IAEA両関係者が集まって行われた。

写真 日本国内のある医療施設に設置されたBNCT装置(提供・IAEA/J.A.Osso氏撮影)

BNCTは、ホウ素ががん細胞の中に取り込まれやすい性質を利用している。患者にホウ素を含んだ化合物を注射し、がん組織に届いてがん細胞に取り込まれたところに中性子線を照射し、ホウ素と核反応を起こさせてがん細胞を死滅させる仕組みだ。がん細胞に隣接した正常細胞への影響が少なく患者への負担も小さいとされる。このため放射線がん治療の分野で「次世代の治療法」と言われる。これまでの研究では、がん細胞と正常細胞が混在する悪性度の高い脳腫瘍などへの治療効果が期待されている。現在は臨床研究の段階で一般にはまだ普及していない。

岡山大学は全国のがん研究施設の中でもいち早くBNCTの研究を始めたことで知られている。IAEAは今回の協定締結について「岡山大学はBNCTの主要素であるホウ素の研究で最先端に立っている」などと評価している。

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