写真 受賞が決まり中部大学(愛知県春日井市)で記者会見する山本尚教授 (中部大学提供)

有機化学の分野で世界的に権威があるとされる「ロジャー・アダムス賞」が、中部大学の山本尚(やまもと ひさし)教授(総合工学研究所長)(73)に贈られることが決まった。中部大学が22日発表した。

同賞は1959年に米国化学会により設立された。2年に1度選ばれ、山本氏は30人目の受賞。日本人ではノーベル化学賞を受賞した野依良治(のより りょうじ)氏(現科学技術振興機構研究開発戦略センター長・名古屋大学特別教授)の2001年 受賞以来2人目。

山本教授は有機化学が専門。有機物同士の反応を活性化する触媒の研究に取り組み、「キラル・ルイス酸触媒」という触媒を世界に先駆けて提案、その有用性を実証し、「分子性酸触媒」という新分野を開拓した。授賞式は来年4月に米国・サンフランシスコで行われる。

山本教授は1967年京都大学工学部工業化学科卒、71年米国ハーバード大学大学院博士課程修了。京都大学工学部講師、名古屋大学工学部助教授などを経て83年同大学工学部教授。その後2002年米シカゴ大学教授、10年に中部大学(学長付き)教授、11年から同大学分子性触媒研究センター長、12年から総合工学研究所長をそれぞれ兼任。07年に日本学士院賞を受賞し、今年5月から日本化学会会長を務めている。

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