中国の清華大学傘下の半導体ハイテク企業グループ「紫光集団(Tsinghua Unigroup)」は、中国大手の国有半導体メーカ―「武漢新芯集成電路製造(XMC)」の株式の過半を取得し、自社の半導体メモリ製造部門と統合すると中国および台湾の複数のメディアが7月28日付けで伝えた。

XMCは武漢では240億ドルを投資して3次元NANDフラッシュメモリの量産工場を建設中であり、DRAM工場やファウンドリ工場も計画中である。今回の買収により中国国内最大の半導体メモリメーカーが誕生することになり、中国における半導体メモリ立国がいよいよ本格化する。なお、XMCはNAND型フラッシュメモリの製造技術を米Spansion(現 Cypress Semiconductor)から有償で入手するとしているが、その基本技術開発は、かつてSpansionと合弁事業をを日本で展開していた富士通にまでさかのぼる。

紫光集団の趙偉国会長は、中国国有のXMCを資産ポートフォリオに組み入れ、両社の生産機能を統合していくと説明しているという。新会社の名称は「長江存儲科技(Yangtze River Storage Technology)」にし、趙会長自らが新会社の会長に就く。資本金は189億元(約3000億円)。

紫光集団は半導体分野におけるグローバル企業を目指し、これまで米Micron TechnologyやWestern Digital、韓国SK hynixなどの諸外国の企業とも買収、資本参加契約交渉を進めてきたが、その多くは成功していない。習近平国家主席の出身校である清華大学を基盤とする紫光集団は半導体企業の国内育成を図り、半導体の自給自足を図ろうとする中国政府のいわば実行役としてグローバルに買収活動を展開している。

なお、紫光集団の趙偉国董事長は2016年5月末に貴州省貴陽市で行われたビッグデータ産業と電子商取引(EC)に関する会合の席上、総額300億ドルを投資して、中国国内でメモリチップの生産に乗り出す方針を明かにしている。