Cypress Semiconductorの日本法人である日本サイプレスは、複数のセンサを必要とするIoTアプリケーションに向けた新たなプログラマブルアナログSoC(PSoC)として、「PSoC Analog Coprocessor(型番:CY8C4Axx)」の提供を開始した。
PSoC Analog Coprocessorは、PSoC 5に搭載されているプログラマブルアナログブロックと48MHz駆動のARM Cortex-M0+を統合したPSoC 4ベースの製品で、アナログインタフェースの制御に特化しており、オペアンプを4チャネル、コンパレータを6チャネル、アナログ・マルチプレクサを1~38チャネル、アナログI/Oが38チャネル、そして12ビットSAR(逐次近似レジスタ) A/Dコンバータ(ADC)および10ビット シングルスロープADCを含む2個の専用ADC(アナログブロックを活用することで14ビットのΔΣ ADCの利用も可能)などを搭載しており、さまざまな用途に対応することを可能としている。
同製品を開発した背景として同社は、「センサを活用した次世代システムの開発においては、センサの種類の増加、アナログ処理の向上などの要因により、高い処理性能が求められるようになってきたほか、複数のセンサの処理によるメモリの大容量化や、ネットワーク処理への対応、デザインサイクルの短縮、複数製品の同時展開などのニーズもあり、半導体にもそうした課題の解決が求められるようになってきたため」と説明する。
カスタムセンサインタフェースのデザインは、同社が提供する無料の統合開発環境(IDE)「PSoC Creator」を用いることで設計が可能。初めから用意されている用途別の回路例とコンポーネントコンフィギュレーションツールを活用することで、パラメータの変更だけで手軽に用途に応じた機能の開発が可能となるほか、アナログ・フロント・エンド(AFE)をPSoC内に統合してあるので、センサの数や種類の変更があっても、新たにホストプロセッサ側のソフトウェアの更新を行う必要がなく、パラメータの調整だけでプロトタイピングを実施することが可能になるとのことで、「従来の方式(プリント基板を新たにスピンさせるコストやソフトウェアの更新時間など)では40時間ほどかかっていた作業時間を4時間に短縮することができる」と同社は説明するほか、「システムに併せてアンプやマルチプレクサ、マイコンなどの組み合わせを考える必要があったが、IDE上で同様の機能の組み込みができるため、設計の簡素化を図ることができる」とする。
またプロトタイピングの容易化を目指したパイオニアキット「CY8CKIT-048」を49ドルで用意。PIRモーションセンサ、照度センサ、湿度センサ、誘導性の近接センサ、サーミスタなどを搭載しており、各種センサの取得データをリアルタイムで確認することができる。さらに、Arduinoシールドヘッダも用意してあるので、Arduinoと組み合わせて活用することも可能だ。
なお、PSoC Analog Coprocessorはすでにサンプル出荷を開始しており、2016年第4四半期の量産出荷を予定している。