東京大学(東大)とNTTドコモ(ドコモ)は4月21日、不整脈と生活習慣病の関連性をスマホアプリを用いて解析する臨床研究を開始したと発表した。

同臨床研究は、東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 健康空間情報学講座 藤生克仁特任助教と、同院 循環器内科の小室一成教授らの研究グループによって行われる。

脳梗塞を発症した患者のうち約3割は、不整脈のひとつである「心房細動」により心臓の一部に血液が滞留し、それにより発生した血栓が脳の太い血管に運ばれ詰まることが原因であるということがわかっている。心房細動をはじめとする不整脈の早期発見は、不整脈に起因する重篤な疾患の予防にもつながると考えられる。

東京大学医学部附属病院とドコモは、2009年から共同で実施している社会連携講座「健康空間情報学」において、自分自身の脈拍の揺らぎを数値的にとらえ、自分自身で把握し管理するためのスマホアプリ「HearTily」を、米Appleが提供する医学研究用のオープンソース・フレームワーク「ResearchKit」を用いて開発してきた。

今回の臨床研究の対象となるのは、研究参加に同意した日本在住の20歳以上。参加者は、HearTilyを用いて、利用開始時と終了時に身長・体重などの基本情報と高血圧の有無などの既往歴や症状などを入力し、1年間継続して、脈拍を1日1回記録し、1~2週間ごとに動悸の有無等の質問に回答する。また、参加者の任意でApple提供の「ヘルスケアアプリ」を経由して計算された歩数等のデータも記録する。測定結果はグラフで表示され、参加者はこのグラフから脈のゆらぎを確認することができる。HearTilyは、App Storeより無料でダウンロード可能。

HearTilyで計測された脈拍データは、利用開始時に登録した生活習慣病の有無などのデータとともに、不整脈の発生傾向などを分析する研究データとして使用される。同研究グループは、不整脈と生活習慣病の関連性を明らかにし、不整脈に起因する病気の予後の改善などへの応用に役立てていきたいとしている。

スマホアプリ「HearTily」の測定結果画面例